2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K17055
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
米山 忠寛 法政大学, 大原社会問題研究所, 研究員 (50738755)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本政治外交史 / 日本政治史 / 戦時体制 / 総力戦体制 / 官僚制 / 体制秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
昭和戦時期の日本の国内で生じた様々な変化について、いわゆる戦前戦後の連関や戦前・戦時・戦後の繋がりを視野に入れて本研究では研究を行っている。一般的に官僚制は固定化されたシステムとして扱われるが、その中で日本の官僚制においては比較的珍しい変化の時期として戦時期は特徴的な時期と見なされ関心の対象となってきた。その中で本研究の特徴的な点は、政治史の視点も合わせた形で戦時体制や明治憲法体制の中に位置付けることで、体制秩序の中で従来の慣性を維持しつつ戦時の変化に対応しようとするその振れ幅について関心を持って研究を行っている点だろう。 一方で政治史への意義としては、秩序への志向を一定程度維持する官僚制の思考からは「戦争があったからすべてが戦争のために変化した」といった政治史の陥りがちな構図に基づく制約から比較的自由になり、制約を外しやすくなるものと考えられる。旧来の過度な変化の強調からの適度な距離の保ち方や変化の尺度の測定方法の検討などが今後の研究に際しても重要な意味を持ってくることになりそうである。 それらの問題関心から、本年度の学会報告や近々公表予定の論文でも取り組んだ。その他に本研究では戦時の改革や平時・戦時の連関に関心を持って当時の官僚(個人や官僚群)の行動や戦時政治経済における行動について分析していっている。本年度には商工省と戦時政治経済構造についてへの関心や大蔵省による貯蓄奨励政策・運動などについて研究を進めた。今後は成果として様々な成果の公表を行いつつ、研究計画3年目への研究の展開に活かしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の資料収集や分析枠組みの構築などの計画していた内容についておおむね予想通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
昭和戦時期の国内体制の変動や再構築の過程について、大蔵省・商工省・内務省などがどのように対応し、結果的に戦後も視野に入れた体制秩序の変革に繋がっていったのか、まずは商工省に焦点をあてて研究を推進していったが、今後は戦時政治経済の広い対象も検討対象に含めて研究を推進していけるように検討している。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも資料収集活動の前提となる理論構築や分析枠組みの設定に本年度は時間をかけることになった。使用計画としては調査出張や研究資料の収集について次年度に次年度使用額の分の支出を行う予定である。
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