• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2016 Fiscal Year Research-status Report

現代ロシアにおける政治体制と選挙:選挙の公正性をめぐるポリティクス

Research Project

Project/Area Number 16K17058
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

油本 真理  北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 助教 (10757181)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsロシア / ポピュリズム / 反体制派 / 反汚職 / 政権批判
Outline of Annual Research Achievements

平成28年度はまず、2011年ロシア下院選挙後に盛り上がった抗議運動がいかにして収拾されたのかという問いに取り組んだ。この時期の政治状況を理解する上で非常に重要な意味を持つのが、選挙不正を批判する形で巻き起こった抗議運動がポピュリスト的な政権批判の構図に支えられており、政権はこうした批判への対応に苦慮していたという点である。ロシア東欧学会2016年度年次大会(2016年10月29日)における学会発表「プーチン再登板後のロシアにおける政権と野党―政権の正統性をめぐる攻防―」(『ロシア・東欧研究』(2016年度号)に「プーチン再登板後のロシアにおける『反体制派の時代』―政権の正統性をめぐる攻防―」として掲載)では、政権と反体制派の間のポピュリスト的な応酬を描き出すことを試みた。
また、今年度は上記の課題と並行して「全ロシア人民戦線」の起源および実態の解明を進めた。同団体は2011年5月にプーチン首相(当時)によって結成され、主に2012年の大統領選挙に向けた布石であると考えられた組織であるが、2012年大統領選挙後も引き続き一定の役割を果たした。今年度は、同団体が果たした役割のうち、特に反汚職運動にかかわる側面に注目して検討を進め、その成果の第一歩として、“The Politics of Anti-Corruption Campaigns in Putin’s Russia: Power, Opposition, and the All-Russia People’s Front”と題する報告を北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター冬期国際シンポジウム(2016年12月9日開催)において行った。同ペーパーはこの時に得られたフィードバックを受けて改訂中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題の目標は、政権側による選挙操作の実態およびそれが抱えるリスクを明らかにすることにある。とりわけ、研究第一年度となる平成28年度においては、1)与党側の選挙戦略、2)選挙後の抗議運動の盛り上がり、の二点についての実態解明を目指した。平成28年度においては、これらの課題について、一定の進展が見られた。
1)の与党側の選挙戦略に関しては、今年度は主に「全ロシア人民戦線」の利用に注目した研究を実施した。「全ロシア人民戦線」は2011年下院選挙において与党の不人気を挽回するための重要な役割を果たした組織であり、その役割を一定程度解明できたことは、与党・政権側の選挙戦略を明らかにするための重要な第一歩となったと言える。
2)の選挙後の抗議運動の盛り上がりに関しては、ロシアにおける近年で最大の規模となった2011年下院選挙後のデモをめぐる状況について考察を行い、そこにおける政権側と反体制派との間のポピュリスト的な言説の応酬という側面に光を当てた。これは、ロシアにおける選挙不正疑惑が持つ危うさをよく示すものであり、選挙後の抗議運動をよりよく理解するための重要な前提条件となる。

Strategy for Future Research Activity

今後もこれまでの研究計画に従って研究を推進する予定であるが、平成28年度において、与党・政権側の選挙戦略を明らかにするという観点から主題とした「全ロシア人民戦線」に関しては、それがそもそも与党を補完するという観点から作られたという成り立ち上、その組織のみに注目するのでは不足であり、より幅広いコンテクストに基づいた研究が必要とされることが明らかになった。具体的には、公式な与党である「統一ロシア」と「全ロシア人民戦線」の相互関係についてさらに踏み込んだ検討が必要とされる。次年度においては、この点についての追加的な検討も踏まえた上で、与党・政権側の選挙戦略を明らかにすることを目指す。

Causes of Carryover

平成28年度はロシアにおけるフィールドワークを予定していたが、平成28年度の研究課題である与党の選挙戦略(「全ロシア人民戦線」の実態解明を含む)に関しては、フィールドワークを行う前段階として行ったインターネット上の情報収集において膨大な量の資料を入手できたため、当該年度においてはこれらの資料に基づいて予備的な見通しを得ることが重要であり、時間配分の面からも現地調査は次年度に繰り越すことが合理的であると判断した。その結果として、現地調査実施のために計上していた予算を次年度に繰り越すこととなった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成29年度は、平成28年度から繰り越した分として、複数回の現地調査を予定している。まず、4月には予備的な調査としてモスクワに滞在し、関連する文献を収集する。その上で、選挙の時期に渡航し、選挙不正に関する議論がどのようになされているのかを観察する。とりわけ、2018年3月に予定されている大統領選挙はロシア政治の今後を占う上で重要な意味を持っていることに加え、本研究課題の遂行に際しても有益な観察対象である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 2016

All Journal Article (1 results) (of which Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] プーチン再登板後のロシアにおける「反体制派の時代」―政権の正統性をめぐる攻防―2017

    • Author(s)
      油本真理
    • Journal Title

      ロシア・東欧研究

      Volume: 第45号 Pages: 印刷中

    • Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] The Politics of Anti-Corruption Campaigns in Putin’s Russia: Power, Opposition, and the All-Russia People’s Front2016

    • Author(s)
      Mari Aburamoto
    • Organizer
      Slavic-Eurasian Research Center 2016 Winter International Symposium “25 Years After: Post-Communism's Vibrant Diversity”
    • Place of Presentation
      北海道大学(北海道・札幌市)
    • Year and Date
      2016-12-09
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] プーチン再登板後のロシアにおける政権と野党―政権の正統性をめぐる攻防―2016

    • Author(s)
      油本 真理
    • Organizer
      ロシア・東欧学会 JSSEES 2016年合同研究大会
    • Place of Presentation
      京都女子大学(京都府・京都市)
    • Year and Date
      2016-10-29

URL: 

Published: 2018-01-16  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi