2017 Fiscal Year Annual Research Report
Gerrymandering under Authoritarian Party Dominance
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16K17059
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
鷲田 任邦 東洋大学, 法学部, 准教授 (50744893)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 権威主義体制 / 選挙区割り / ゲリマンダリング / 地理情報システム(GIS) / 一票の格差 / マレーシア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、権威主義体制における選挙区割り操作(ゲリマンダリング)の戦略とその影響について明らかにすることを目的としている。特に、政権党の圧倒的支配(いわゆる覇権政党体制)のもとで、ゲリマンダリングの問題が懸念されてきたものの分析が不足していたマレーシア(半島部)を事例に、選挙区割りの変遷についての地理情報システム(GIS)のデータベースを構築し、体系的な分析を行った。データベースの構築により、区割り操作だけでなく、過大代表(一票の格差)をいかに操作しているかという点についても、分析が可能になった。GIS上のデータベースの構築は、今後のさらなる研究基盤にもなる。 下院選挙区・州議会選挙区の分析から、政権党の圧倒的な優位のもとでは、ゲリマンダリングの定説である「与党票の分割と野党票の集約」とは異なる戦略がとられることを明らかにした。具体的には、圧倒的な優位のもとでは、与党票の分割はみられる一方、野党票を集約せずに分散させて、議席拡大を図ること、また、与党票の分割の際に、戦略的に支持基盤を過大代表させていることがわかった。加えて、2008年選挙での与党の急激な後退への影響についても示唆を得ることができた。 本報告の成果は、日本比較政治学会報告(2016年6月、2017年9月)、IPSA報告(2016年7月)、日本政治学会報告(2016年10月)、MPSA報告(2017年4月)、アジア政経学会(2017年7月)の学会発表や横浜市立大学での政治学セミナー報告(2017年8月)に加えて、出版物としては、日本比較政治学会年報(2017年6月)、アジア経済研究所からの研究叢書の章(2018年3月)、単著の章(近刊)につながった。
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