2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17061
|
Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
森山 花鈴 南山大学, 法学部, 講師 (40635702)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 自殺対策 / 政策過程論 / 行政学 / 公共政策 / 自殺予防 / 地方自治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、政府の問題として取り組まれてきた自殺対策を政策学的に分析するものである。 平成28年度(初年度)は基礎資料の収集やネットワークの構築を実施してきたが、平成29年度(2年目)は、海外において自殺対策を国家的な政策として取り組んでいるフィンランドの調査、そして国内において自殺対策関係者および自治体職員に対するインタビューを実施し、地方自治体(特に政令指定都市)に対する自殺対策関連事業実施実例の分析と調査を実施した。 研究実績として挙げられるのは、まず、国内学会での発表・論文の発表、そして書籍の刊行である。国内学会では、9月につくば市で開催された第41回日本自殺予防学会で発表を行った。学術論文は、『アカデミア社会科学編』第13号および第14号(南山大学)への投稿を行っている。さらに書籍として、『自殺対策の政治学』(単著)としてその成果をまとめた。 海外調査としては、9月にフィンランドを訪問し、フィンランドにおいて自殺対策を実施してきた自殺対策関係者(国立研究所、民間団体、大学研究者等)へのインタビューを実施することができた。フィンランドは、国家として自殺対策を実施し、その自殺者数を30年間で55%減少させている。 国内調査としては、毎月自殺対策に関する研究会を実施し、自殺対策関係者からのヒアリングを実施するとともに、地方自治体(特に政令指定都市)における自殺対策関連事業実施実例を収集し、その分析を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、当初予定していたインタビュー調査および海外調査、論文の執筆や学会報告、書籍の刊行を達成したため、おおむね順調に進展していると思われる。また、初年度に引き続き自殺対策に関する研究会を毎月実施しており、各分野の専門家との意見交換の機会を設けることができている。さらに、フィンランドにおける自殺対策の調査のために海外調査を実施することもできた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、自殺対策関係者および地方自治体職員に関するインタビューを引き続き実施し、自殺の減少要因について調査を実施する予定である。具体的には、自殺対策基本法成立後に自殺者数の優位な現象が見られた地域を抽出し、「自殺者数の減少をもたらした政策上の要因」について事業実施担当者に対してインタビュー調査を実施する。調査の中で、その予算額については従来から実施されてきている関連施策の予算を「自殺対策」予算としてどこまで含めるかという点が自治体により異なるということが判明したが、可能な範囲で予算額についても調査を行う。そして、自殺者数が減少した地域における自殺対策モデルについてとりまとめを行い、効果的な自殺対策を推進するためのモデルの提示を行う。
|
Causes of Carryover |
ほぼ予定通り使用したが、最終年度に必要となる文具代を次年度に繰り越した。次年度は文具代として使用する。
|
Research Products
(4 results)