2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16K17062
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
兪 祖成 同志社大学, 総合政策科学研究科, 助手 (40755659)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | NPO(非営利組織) / 選択と集中 / 政治統制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2013年3月に登場した習近平政権は、同年11月に中国共産党十八期中央委員会第三次全体会議を開催し、「全面的に改革を深化させることに関する中共中央の若干重大問題決定」を決議した。そのなかで、NPO政策の改革理念について「協会・商会型、科学技術型、公益慈善型および都市部・農村部におけるサービス提供型の社会組織(NPO)を重点的に育成し、優先的に発展し、そして法によって直接に申請登記することを許可する。一方、社会組織と中国国内における在華国際非政府組織(海外NGO)に対しては、管理を強化し法による活動を展開することを誘導する」 と指摘されている。 明らかに、中国共産党最高指導部の思惑は、社会問題解決の担い手として公共サービスの供給に専念するNPOに対して法的支援を行う一方、それ以外のNPO(例えば、政策提言や人権擁護などの活動にかかわるNPOおよび中国国内で活動を展開する海外NGO)に対してさまざまな対策を講じて政治統制を続けている、というところにある。筆者から見れば、これは「選択と集中」理論に基づく政策理念にほかならない。 換言すれば、限定された緩和政策のもとで、市民社会の主体としてのNPOセクターが本来の「事業」(サービス供給)と「運動」(社会変革)の両輪のうちの後者をどこかに置き去りにしてしまっているのではないかという危惧感を持っている。さらに言えば、習近平政権は「選択と集中」理論に基づき、政権運営に協力姿勢を見せるNPOに対して全面的に支援を行う一方、法的登録手続きを行ったNPOと慈善認定を受けた法定NPOに対して、さまざまな新たな統制手法を通じてコントロールすると同時に、政策提言や人権擁護などの活動にかかわる草の根NPOや中国国内で活動を展開する海外NGOに対してさまざまな対策を講じて政治統制を続けている。
|
Research Products
(6 results)