2016 Fiscal Year Research-status Report
日中関係おける誤認知の構造的なメカニズムに関する理論的・実証的研究
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16K17068
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
張 雲 新潟大学, 教育・学生支援機構 グローバル教育センター, 准教授 (70447613)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日中関係 / 国際関係理論 / 日中米関係 / 認知 / 誤認知 / 米中関係 / 日米関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日中の誤認知形成・再生の構造的なメカニズムの解明を目的とし、国際関係理論と実証研究を融合した視点から研究を行う。初年度である28年度には、「誤認知」(Misperception)とSystem Effect理論ついての豊富な既存の研究を全面的に検証し、日中米トライラテラル関係の構造により生産されてきた日中の「誤認知」の理論分析枠組みを構築した。そして、2000年から過去15年間の中国の戦略研究知識エリート層(strategic elites)の対日認知を分類・レビューし、中国の対日政策との関連性を重点的に追跡した。各流派の代表的な学者(政策に影響のある)を一名ずつ選定し、彼らの国際構造(日中米関係)への認知から派生した対日「戦略認知」(strategic perception)の変遷を分析した。具体的には、2000年から彼らの論文、言説、講演、評論、会議録などを整理したうえ、上記の専門家と関係者への直接の聞き取り調査を行った。その後、対日認知と中国の対日政策の変遷とを照合し、両者の関連性を解明した。 中間的な研究成果をシンガポール国立大学、北京大学、中国人民大学、復旦大学、南開大学などでの国際会議、招聘講演で積極的に論文発表した。北京フォーラム2016と日本国際政治学会の年度大会でも論文発表をした。復旦大学と合同で国際会議を新潟大学で実施した。また、日中米関係における認知と誤認知についての単著2冊も出版した。(Yun Zhang, Sino-Japanese Relations in a Trilateral Context: Origins of Misperception(New York: Palgrave Macmillan, 2017. 張雲、『可控的緊張:日中美三国的認知和誤認知』、浙江人民出版社、2016年4月)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論分析枠組みを構築し、基礎的な資料取集・聞き取り調査を実施した。また、中間的な研究成果を国内外の国際会議、学会そして招聘講演で発表した。日中米関係における認知と誤認知についての単著2冊も出版した。
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Strategy for Future Research Activity |
これから、実証研究を通じ、基礎研究の枠組みと分析結果を検証する。第一次資料の探究を中心に実証研究の精度を高めることを行う予定である。日中米三カ国で事例に携わった政府関係者、主要大学とシンクタンク専門家、オピニオン・リーダーなどへの聞き取り調査が事実確認そして政策ロジックとの関連性を探ることにとって不可欠である。特に、検証する事例はすべて米国の要因が含まれており、日中外交の形で展開されているように見えるが、日中米の観点からの分析がなければ全容解明は不可能である。そのため、29年度には米国と中国で実証研究のための集中的な聞き取り調査を実施する。
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Causes of Carryover |
28年度、研究成果の発表を多数実施したため、米国への出張が実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
米コロンビア大学Robert Jervis教授をはじめとする米国の専門家からの直接の研究助言そして実証研究の聞き取り調査のため、今後に適宜の時期に米国への出張を実施する。
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Research Products
(10 results)