2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17073
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
妹尾 哲志 専修大学, 法学部, 准教授 (50580776)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 冷戦史 / ドイツ外交 / 東方政策 / 国際関係論 / 外交史 / 国際政治 / ヨーロッパ政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目に入る本年度は、申請書の研究計画に沿って、引き続き関連文献・資料の収集・分析に取り組んだ。とりわけ、シュミット政権期の「西方政策」に関しては、同盟関係やヨーロッパ統合の視点からを中心に、ドイツをはじめとした各国の一次史料を利用した研究が続々と発表されており、それらの収集や時系列的分析に取り掛かっている。一方で、2017年9月にドイツとポーランドにて現地調査を行った。ドイツでは、ベルリンの外務省文書館、シュミットをはじめとするドイツ社会民主党(SPD)の政治家の個人文書や党関係の未刊行史料が所蔵されているボンのフリードリヒ・エーベルト財団の文書館や同地の大学図書館、そしてコブレンツの連邦文書館等を、加えてポーランドでは、ワルシャワのユダヤ人博物館やゲットー記念碑等や、グダンスクの欧州連帯センター等を訪問した。こうした作業と並行して、冷戦期の西ドイツの外交政策についての講演を行い、シュミット政権期の「東方政策」や「西方政策」などに関しての研究成果にも触れ、他方でシュミット政権期の「東方政策」をその前のブラント政権期との継続性や変化という視点から検討する上でもやはり重要なエゴン・バールのヨーロッパ安全保障構想に関する論考を発表し、当該時期における首相シュミットとバールの政策に関して比較検討を行った。さらには、シュミットがSPDの議員団長として尽力した大連立政権期の外交政策に関して、とりわけ核政策をめぐるアメリカとの関係に焦点を当てた論考を発表し、シュミット政権期の「西方政策」を分析する上でも重要な示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に引き続き、資料収集・分析を進める一方、当該テーマに関連する内容の講演や論考を発表する形で進展させることができていると考えている。とりわけ「東方政策」の中でも、まずシュミット政権期のポーランドとの関係を軸に研究を進める目途を立てることができ、その前のブラント政権期との継続性と変化に着目して資料収集・分析に取り掛かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、ここまで収集してきた資料や文献に関する分析をまとめていくと同時に時系列的整理と理論的考察を深める。とりわけ「現在までの進捗状況」の項で言及したように、「東方政策」のなかでもポーランド関係を中心とした分析を進めていく予定である。その中で必要に応じて補足的な史料調査も行う。そして研究成果を学会等での発表や論考等を通じてまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた現地調査について本務校の校務等の関係から期間を少し短縮せざるを得なかったことを主な理由として次年度使用額が発生した。この次年度使用分については、最終年度に補足的な現地調査を行う場合にはその予算として、現地調査を行わない場合は研究成果をまとめていく上で進めていく作業で必要となる資料を入手するために使用することを予定している。
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Research Products
(4 results)