2019 Fiscal Year Research-status Report
近年の通常兵器規制の特質と背景:安全保障研究と歴史研究の連携を目指して
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16K17075
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
榎本 珠良 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 客員准教授 (50770947)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 安全保障研究と歴史研究の連携 / 軍備管理・軍縮研究 / 批判的安全保障研究 / 武器移転規制の歴史と現在 / 兵器禁止規範の系譜学 / 武器の入手可能性と暴力との関係性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に実施予定であった国際セミナー(シンポジウム)の開催を2018年度に前倒しして実施したため、2019年度は研究をとりまとめて発表する作業に多くの時間を割いた。 まず、国際武器移転規制については、2018年度に東京で開催された武器貿易条約(ATT)第4回締約国会議にあわせて開催した国際シンポジウムの登壇者らによる英文論考4本をとりまとめた。原稿は2019年7月刊行の『国際武器移転史』に発表し、同年8月にジュネーヴで開催されたATT第5回締約国会議の会場内にて広く配布した。そのうえで、これまでの研究成果を『武器貿易条約:人間・国家主権・武器移転規制』(晃洋書房、2020年3月刊行、単著)として発表した。 次に、特定の兵器の使用等を禁止する発想や取り組みに関しては、2017年度に立ち上げた国際共同研究プロジェクト「パーリア・ウェポンズ」を引き続き運営した。2018度までに海外から研究者を招聘するなどして複数の国際・国内セミナーを開催し、国際安全保障学会でパネル報告を実施していた。2019年度は、この研究をとりまとめ、『禁忌の兵器:パーリア・ウェポンの系譜学』(日本経済評論社、2020年2月刊行、編著)として発表した。 なお、他の資金により、2019年8月にジュネーヴで開催された自律型致死性兵器システムに関する政府専門家会合およびATT第5回締約国会議に出席し、会議の経緯を記録するとともに、参加した研究者・実務者へのインタビュー調査を継続した。帰国後に本事業と共同で研究会を開催し、実務者・研究者4名の登壇・約80名の参加を得て論点を共有し議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
海外での史料調査とインタビュー調査、国際イベントの開催、国内外の研究者との連携やその成果発表について、下記のように当初の計画より早いペースで進展した。 1.2016-2019年度に、武器貿易条約(ATT)締約国会議(CSP)等に参加して動向を分析して論考を発表し、国内外のイベントで報告した。2018年度には日本でCSPが開催されため、2019年度に予定していた国際セミナーを2018年度のCSP直前に変更し、当初の想定よりも大規模化したうえで、同時にCSPのサイドイベント等も開催した。シンポジウム登壇者らによる英文論考4本をとりまとめ、2019年度のCSPに向けて『国際武器移転史』に掲載のうえ、CSPにて配布した。一連の研究に基づき、2019年度に単著『武器貿易条約:人間・国家主権・武器移転規制』(晃洋書房、単著)を刊行した。 2.ATT関連で論争されてきたテーマ(非国家主体への武器移転規制)について、英語での国際シンポジウム・セミナー報告や論文発表を行い、日本語での学会報告や論文発表も行った。 3.2016年度に海外の研究協力者とともに『国際政治史における軍縮と軍備管理』(日本経済評論社、編著)を刊行した。 4.2017年度に武器の入手可能性と暴力との関係性について国際セミナーを開催し、成果を2018年度の『国際武器移転史』に発表した。また、同テーマで単独にて学会報告のうえ、日本軍縮学会設立10周年記念論文集『軍縮・不拡散の諸相』(信山社)にて発表した。 5.特定の兵器の使用等を禁止する発想や取り組みに関して、19世紀から現代までの事例を扱う国際共同研究「パーリア・ウェポンズ」を2017年度に立ち上げた。国内外の研究者の参加を得て、国内・国際セミナーや学会パネルを開催したうえで、2019年度に編著『禁忌の兵器:パーリア・ウェポンの系譜学』(日本経済評論社、編著)を刊行した。
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Strategy for Future Research Activity |
本事業における海外での資料収集や資料分析、インタビュー調査などは予定より早く完了した。他事業と連動させることにより、研究資金を節減することもできた。2020年度は、この研究成果を広く周知し議論を深めるための活動や、追加的な研究発表を実施したい。 国内外における新型コロナ・ウイルスの感染拡大を受けて、2020年度に追加のインタビュー調査や史料調査を行うことは困難であり、対面での大規模イベント開催の見通しも立たない。したがって、2020年度は論文や図書の刊行といった形での成果発表とすることを検討している。
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Causes of Carryover |
本事業全般にわたり、①海外出張費、②イベント経費、③複写費を節減することができた。①当事業の調査と同時期に開催された国際会議にてインタビュー予定者と面会して出張日数を短縮する、往復のフライトおよび現地宿泊先を早めに予約して当初の想定より安価に確保する、他の資金とかけ合わせて1回の出張にまとめてフライト回数や出張日数・日当を削減する、といった方法で海外出張費を節減することができた。②他の資金とかけ合わせて共同で国内外セミナー・シンポジウムを開催することにより、イベント経費を節減することができた。③海外で史料調査を実施した際に、史料の写真撮影が可能であったため、複写費用と複写資料郵送費用がかからなかった。
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Research Products
(15 results)
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[Book] Citizenship in Motion: South African and Japanese Scholars in Conversation2020
Author(s)
Itsuhiro Hazama, Kiyoshi Umeya, Francis B. Nyamnjoh, Anye-Nkwenti Nyamnjoh, Claire-Anne Lester, Ayanda Manqoyi, Tamara Enomoto, Toshiki Tsuchitori, Noriko Tahara, Gaku Moriguchi, Olivia Joanes, Kongo Minga Mbweck, Zuziwe Nokwanda Msomi, Msakha Mona, Marlon Swai, Harry Garuba
Total Pages
442
Publisher
Langaa RPCIG
ISBN
9789956550685