2016 Fiscal Year Research-status Report
情報伝達時間を取り入れた組織内情報伝達モデルの構築
Project/Area Number |
16K17083
|
Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
小川 博雅 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (00738958)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 組織の経済学 / 情報伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究計画1)~3)に従い、情報伝達時間を取り入れた理論モデルの作成に取り組んだ。 1)基本モデルの作成では、申請書に記載した方法に沿ってMarschak and Radner (1972)らの先行研究を参考にしながら、情報発信者が複数回のシグナルを送るモデルを作成した。シグナルを送る回数を情報伝達に要する時間として解釈することで、本研究での基本となる分析モデルとして利用していく。 2)情報伝達効率の内生化では、申請書に記載した方法に沿ってシグナルのノイズを情報発信者が設定するようモデル化を試みたが、予想以上に均衡計算が煩雑になり、また均衡の特性も掴みづらいものとなった。 3)組織パラメータについての比較静学では、現場間の協調の重要性が最適な組織内の情報伝達時間に及ぼす影響について分析を行った。2)で言及した理由により分析が煩雑になったため、まずは2)の要素を省きノイズを外生的なパラメータとして設定するなどモデルのパラメータを特定化したうえで分析を試みた。分析の結果、協調の重要性が変化した場合に、分権的な組織では最適な組織内の情報伝達時間も長くなるのに対して、集権的な組織では反対に短くなるという分析結果が得られ、この結果が成立する理由・直観について考察を行った。 3)の分析結果は、簡素化された設定のもとで示された結果であるが、より一般的な設定のもとでも成り立つ頑健な結果だと考えている。今後は、モデルのパラメータの設定をより一般的にし、3)の分析結果が維持されるか確認していく予定である。また、計算の煩雑さのためいくつかの重要なパラメータに関する比較静学分析を終えることができなかったため、基本モデルを見直して扱いやすさの改善も併せて進めていきたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要にも記したように、予想以上に均衡計算が煩雑になってしまった結果、予定していた比較静学分析を終えることができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは、平成28年度にやり残した比較静学分析の続きと基本モデルの見直しに取り組む予定である。 その後、申請書に記載した平成29年度の研究計画に沿って、1)権限配置パターン間の比較および含意の導出、2)周辺分野の文献調査と関連付け、3)研究会の活用および論文執筆に取り組む予定である。
|
Causes of Carryover |
研究が遅れていたため、予定していた研究会参加のための出張を取りやめたためである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究会参加の出張費として活用し、残りが出れば返却する。
|