2017 Fiscal Year Research-status Report
情報伝達時間を取り入れた組織内情報伝達モデルの構築
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16K17083
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
小川 博雅 専修大学, 経営学部, 講師 (00738958)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 組織の経済学 / 情報伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究では、情報伝達時間に関する比較静学分析について、以下のような分析結果が得られている。 ・集権的な組織では、各現場の個別の環境要因への適応の重要性に比べて、現場間の協調の重要性が相対的に高まる場合、情報伝達にかける時間を短縮することが効率的である。 ・一方、分権的な組織では、同様の変化が生じた際には、情報伝達にかける時間を延長することが効率的である。 平成29年度は、研究計画に記載した1)権限配置パターン間の比較および含意の導出に関連して、上記の分析結果が情報発信者が戦略的に情報伝達を行うという想定の下でも成り立つかどうかを検証した。検証では、ある単純な情報伝達戦略が採用される均衡に注目し、この均衡の下では平成28年度に得られた研究成果と同様の性質が満たされることを確認した。ただし、注目した均衡以外にも複数の均衡が存在することも確認しており、さらに検証を深める必要がある。 また、平成28年度に終えることができなかった比較静学分析を行えるよう、理論モデルの簡素化に取り組んだ。具体的には、情報伝達の行動について、当初に計画していたやり方(不完全な情報を複数回に分けて逐次的に伝達していく方法)に工夫を加えて簡素化する方法を検討した。しかしながら、計算の煩雑さはまだ十分には解消できておらず、いくつかの重要なパラメータに関する比較静学分析を終えることができなかった。平成30年度も、引き続きもモデルを簡素化する方法について検討を行いたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初に予想していた以上に均衡計算が複雑になってしまい、予定していた比較静学分析をすべて終えられていない。また、2017年4月に所属機関の変更があり、異動先での教務に対応する準備のため十分な研究時間を確保することができなかった。以上の理由から、1年間の研究期間延長を申請している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、理論モデルのさらなる簡素化の方法を検討する。次に、申請書に記載したが未着手の平成29年度の研究計画を進めていく。具体的には、1)周辺分野の文献調査と関連付け、2)論文執筆を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度の研究計画をすべて完遂できず、研究期間の延長を申請した。予算は、論文執筆のためのPC購入費、英語論文の校正、出張費等に充てる予定である。
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