2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of strategic communication with delay in organizations
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16K17083
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
小川 博雅 専修大学, 経営学部, 講師 (00738958)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | チープトーク / 組織の経済学 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は研究期間を延長したため、本年度は申請書に記載した29年度の計画研究に則り研究を進めた。具体的には、28年度に引き続き、チーム理論をベースにして構築した組織モデルの均衡分析とその比較静学に取り組んだ。 分析の主要な成果は、組織内におけるコミュニケーションを複数段階に分けること、特に「頭出し」を行うことのメリットについての知見である。頭出しとは、公式なコミュニケーションに先立ち、大まかな方針や意見をあらかじめ他のメンバーに伝えておくことであり、組織における根回しの一種であると言える。こうした慣行には、組織内のコミュニケーションに多くの時間が費やされるという負の側面がある。しかしながら、本研究では、メンバー間の利害が対立しやすく、また分権化が進んでいる組織においては、コミュニケーションを複数段階に分けることでメンバー間の情報伝達が促されるという効果があることを理論的に説明したものである。 また、本研究のモデル分析を進めるなかで、聞き手のセンシティビティ(話し手の意見を取り入れる割合)がコミュニケーションの正確性にもたらす影響について新しい知見を得ることができた。得られた知見は、論文"Receiver's Sensitivity and Strategic Information Transmission in Multi-sender Cheap Talk"としてまとめ、オープンアクセスのレポジトリであるSSRNにて公開した。現在、国際的な学術誌へ投稿中である。
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