2020 Fiscal Year Annual Research Report
Capital heterogeneity and its aggregate implications under the price rigidity
Project/Area Number |
16K17084
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石瀬 寛和 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (80729179)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 価格硬直性 / 開放経済 / 貿易 / 比較優位 / 名目為替 / 為替変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、3本の論文の仕上げを行った。物価変動率にトレンドを持つ2国開放経済について実証分析の論文I、規範的理論分析の論文II、名目為替の変化度合いと産業別の賃金の硬直性の関係に関する論文IIIである。 論文Iは「インフレ率の低い(高い)国は、価格が硬直的(伸縮的な)な中間投入財を多く使う産業に比較優位がある」というもので、過年度で投稿し棄却されたときに得たコメントに沿って追加の頑健性の確認等を行った。論文はほぼ仕上がっており、文章を修正したうえで再度、別の学術雑誌に投稿するところである。 論文IIは「インフレ率が比較優位に影響を与えるため、最適インフレ率の設定に関して交易条件を考慮することだ重要で、場合によっては正のインフレ率が最適インフレ率になる」という分析を理論的・数量的に行っている。最初の投稿の段階では先行研究である程度考えられている範囲内のパラメタを用い、また米国に関してのみ適用可能性に関する分析を行っているが、ある国際学術雑誌に投稿したところ、現実性への懸念から棄却された。そこで、モデルで利用しているパラメタについて追加の正当化に関する議論を追加するとともに、米国に加えて、イギリス、カナダ、日本への適用可能性に関しての実証分析を追加した。本論文は、別の国際学術雑誌に投稿済みで、編集者から査読者へと送付され査読結果を待っている段階である。 論文IIIは、名目為替の変動が大きい国では名目賃金が硬直的な産業の財の輸出が少ないという実証結果とそれを簡潔に記述する理論モデルから構成されている。今年度は香港にある大学でのオンラインセミナーで報告を行い有益なコメントを得た。それに基づき頑健性の確認のための追加の分析を行った。現在、最終的な改訂を行ったうえで国際学術雑誌に投稿するところである。
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