2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17085
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
森本 脩平 首都大学東京, 社会科学研究科, 准教授 (50614145)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メカニズムデザイン / 耐戦略性 / マッチング / 非分割財 / 社会的選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、主に貨幣移転が可能な状況での1対1マッチングモデルと同質な非分割財の配分問題の研究を行い、それらのモデルにおいて耐戦略性(各個人に自分の真の選好を表明するインセンティブを与えるための条件)や効率性などの望ましさの基準を満たすマッチングおよび配分ルールの検討を行った。 マッチングモデルの研究では、個人の選好に所得効果が存在する状況での検討を行い、耐戦略性、効率性、個人合理性(個人の自発的な参加を促すための条件)、およびマッチできなかった個人に対する非補助金性の4つの望ましさの基準を満たすマッチングルールとコアとの関係性について検討した。そして、これら4つの条件を満たすルールは一般に存在しないことを示した。本研究は、これまでの研究をさらに弱い条件の下で検討したものである。これまでの研究ではマッチしたペアに対する非補助金性の条件も必要としていたが、本研究によりその条件を要求しない場合でもこれまでと同様の結果が成立することが明らかになった。また、選好ドメインの条件もこれまでよりもさらに弱い条件の下で成立することが新たに分かった。 配分問題の研究では、各個人は自分の受け取る財の数量について単峰な選好を持つ状況において、複数の同質な非分割財を確率的に配分するルール(各選好組に対して、配分の集合上の確率分布を一つ選ぶルール)の分析を行った。本研究では、確率支配耐戦略性、確率支配効率性、および匿名性(ルールが個人の名前に依存しないことを要求する条件)などの公平性の条件を満たす確率的配分ルールのクラスについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
貨幣移転が可能な状況での1対1マッチングモデルおよび同質な非分割財の配分問題において今年度予定していた分析を行うことができたため
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果のより一般的なモデルおよびより弱い仮定の下での検討やルールの特徴付けなどを検討することにより、これらのモデルおける耐戦略性を満たすルールについての理解をより深める。また、他の関連モデルでの耐戦略的なルールの検討も行っていく。
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