2018 Fiscal Year Annual Research Report
Axiomatic analysis of intergenerational equity with variable population size and sustainability
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16K17090
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
釜賀 浩平 上智大学, 経済学部, 准教授 (00453978)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 世代間衡平性 / 人口倫理 / 功利主義 / 平等主義 / 公理的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に実施した研究では,道徳哲学に深く依拠した二原理である功利主義と平等主義を折衷する方法と,平等主義的な特性を有した功利主義的評価基準の無限視野での新たな定式化について,理論的な分析を行った.これらについては,国際学会などでの発表を行った他,二つの論文が国際学術雑誌への採録され(採録決定済みを含み),書籍に採録された論文が一編あり,また国際学術雑誌への投稿に向けた初稿を完成させた論文が一編ある. 功利主義と平等主義を折衷する方法については,平等主義を表現する評価方法であるレキシミン原理およびマキシミン原理を取り上げて,功利主義と折衷した評価方法をいくつか定式化している.定式化は,凸結合や辞書式の結合によって行われている.こうして定式化された評価方法について,その規範的基礎づけを公理的特徴づけによって明らかにしている.また,無限視野の枠組みにおける平等主義的な特性を有した功利主義的評価基準の定式化では,世代効用値の下極限に注目する功利主義的評価方法を新たに定式化し,その規範的基礎づけを公理的特徴づけによって明らかにしている.これらの研究は,功利主義と平等主義に関する規範的基礎付けの差異と共通項に関する新たな知見を示すものである. 研究期間を通じて実施した研究では,功利主義および平等主義に基づく社会厚生の評価基準を理論的に研究し,特に,世代ごとの人口変動を考慮する無限視野の枠組みにおいて,それら評価基準の理論的分析を行った.世代内効用配分に適用される評価方法が,世代間効用配分に対して適用しうる評価方法にいかなる制約を課すかという点に注目し,一定の条件下では,世代内効用配分に適用される評価方法を世代間にも適用せざるを得ないことを明らかにしている.
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[Book] 人口問題の正義論2019
Author(s)
松元雅和・井上彰編,釜賀浩平[他]著
Total Pages
256(担当:72-92頁)
Publisher
世界思想社
ISBN
9784790717256