2017 Fiscal Year Research-status Report
J.S.ミルを分岐点とした経済学観の転換に関する研究:価値論を中心として
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16K17099
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
吉井 哲 名古屋商科大学, 経済学部, 教授 (10514341)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 価値論 / J.S.ミル / 過程分析 / equation / 限界革命 / 生産費 / 需要と供給の原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は6月の経済学史学会(於徳島文理大学)に参加し、大阪学院大学藤本正富教授の報告、"J. S. Mill’s Analysis of Tariffs and Criticism for Robert Torrens’ Reciprocity"における討論者を行った。昨年に経済学史学会(東北大学大会)で私が行った報告は「J. S. ミルはなぜ需給原理を基本原理としたのか?」であるが、J.S.ミルが需給原理を採用せざるを得なかった分野が国際価値論であり、学会参加および討論者を担当したことで、非常に知見が深まった。 また、計画書の予定通り”The correct understanding about supply-and-demand principle of J. S. Mill”と“Why J.S. Mill reverted to a principle of supply and demand anterior to that of cost of production?”を執筆したが、完成には至っていない。
前者概要:「Equation」解釈を通じた古典派経済学の再解釈。J.S.ミルまでの古典派経済学においては、価格決定の等式を「均衡への傾向」を表すものと解釈すれば、これは均衡に至る経緯についての「過程分析」と言える。一方で、新古典派経済学では価格と数量が同時決定される市場均衡理論である。新古典派経済学とそれ以前の古典派経済学の価格理論を分ける際のメルクマールは、このような市場に対する見方である。
後者概要:リカードウ経済学徒であるJ.S.ミルはなぜ需給原理を生産費原理に先立つ基本法則としたのか。「リカードウ価値論の修正問題にまつわるJ.S.ミルの置かれた状況」、「J.S.ミルが信じる科学方法論」、「生産費原理においても需給原理は必要」という3点から回答を与える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書に予定していた論文は完成には至らなかったが、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度のため、前年度の完成に至らなかった上述の論文2本を完成させ、英文ジャーナルに投稿する。 また、計画書で本年度に予定していた“A study on the mystery of Ricardo’s permission about Malthus' law of supply and demand”も執筆し、英文ジャーナルに投稿する。
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