2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17100
|
Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
田中 晋矢 小樽商科大学, 商学部, 准教授 (80727149)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 罰則付き回帰 / マクロ経済予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビッグデータ時代の到来により,時点数(T)に比べて圧倒的に系列数(N)が大きい,すなわちT<<Nを満たす「超」高次元データセットによるマクロ経済予測が実行可能になりつつある.因子モデルを応用したDI予測は通常(T<N)の高次元マクロ経済データセットへ適用する場合には最も有力な予測手法の一つとして知られているが,DI予測を超高次元マクロ経済データセットへの適用を行う場合,従来の方法に基づく因子推定及びDI予測は理論と実用の両面で不都合が生じてしまうと考えられる.本研究課題の目的は超高次元マクロ経済データセットの特性を考慮した新しい因子推定法及びDI予測手法を理論・実証両面で考察することである.
28年度前半は計画通り「1.超高次元データに関する理論分析に必須の超高次元統計分析に関する知識の強化」および「2.状態空間モデルに基づく超短期予測の理論サーベイと実証」を行った.より具体的には1.については主にスパース性を有する統計モデルに関する知識の強化,2.については主に状態空間モデルに基づく超短期予測モデルに関する知識の強化を行ったあと,米国の大規模マクロ経済データセットであるFRED-MDを用いた米国GDPの超短期予測に関する実証分析を行った.これらと並行して,1,2の最新研究動向を把握するため国際学会IAAE2016への参加も行った.
28年度の後半は1および2で得た成果を生かして植松良公氏(南カリフォルニア大学)と共同で超高次元統計分析手法の一つである罰則付き回帰を用いたマクロ経済予測に関する理論論文Uematsu and Tanaka (2017)を執筆した.本論文の成果は11月に計量経済学セミナー(京都大学)で研究代表者により報告された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り本研究課題の遂行に必須の超高次元統計理論に関する研究のサーベイ,そして最新の因子モデルに基づくマクロ経済予測に関連する手法のサーベイと実際のデータを用いたその手法の実践(実証分析)を行うことができた.加えて,その成果は植松氏との共同論文Uematsu and Tanaka (2017)に反映させることができた.理想としては28年度中に超高次元データに適した因子モデル,より具体的には系列数に応じて因子数が発散していく因子モデルの因子推定に関する論文を完成させることが望ましかったが,こちらについてはUematsu and Tanaka (2017)の完成に大きなエフォートを投入した関係で28年度中に着手することが出来なかった.しかしながら解決の大きなヒントとなる先行研究の情報を植松氏から頂いたため,29年度より比較的障害なく当該研究に着手できると考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
29年度は,超高次元データに適した因子モデルにおける因子推定に関する理論研究を行うと同時に,Belloni and Chernozhukov (2013)に代表されるスパースモデルにおける2段階推定モデル選択に関する一連の理論研究の入念なサーベイを行う.
30年度は,前年度身につけた2段階推定モデル選択の知識を生かしSure Independence Screening(SIS)と呼ばれる超高次元データから高次元データへの次元縮約を経由した場合のDI予測回帰式の係数推定量および予測誤差に関する理論研究を行うと同時に,実在する超高次元物価データ(SRI)を用いたマクロ物価予測に関する実証研究を外木暁幸氏(東洋大学)および植松良公氏などの協力を仰ぎつつ行う.
|
Causes of Carryover |
当初の予定では28年度に超高次元データを扱うためのワークステーションを直ちに購入予定であったが,28年度中は主に理論研究を行った関係でより安価なパソコンで代用したため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度以降(特に30年度)は系列数が数十万,数百万に及ぶ実在の超高次元データを扱っていく予定であり,その処理・分析に必要なワークステーションを購入する.
|