2016 Fiscal Year Research-status Report
複数財生産企業の製品選択とその非効率性に関する研究
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16K17116
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水野 倫理 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (60589315)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 複数財生産 / 垂直的製品差別化 / 垂直的市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,企業が財の種類を決定できる状況において,どのような財が販売され,またその状況は社会的に望ましいのかについて分析している。この問題を分析するために,Anderson and Celik (2015) の研究を参考にし,企業が任意の財の種類を選択できる状況を考えた。また,研究実施計画に従い,新たな製品を開発するためには新たな部品を必要とする状況をこの問題に取り入れた。その結果,分析を行ったモデルが複雑になりすぎたため,均衡を求めることが困難な状況となった。 次に,研究実施計画に従い,扱う財の種類を2種類に制限する状況の分析を開始するために,先行研究の調査を行った。その結果,近年の研究の中で関連した研究を見つけることができ,本研究課題とは差別化が可能であることが概ね分かった。現在は,財を2種類に限定した状況で,企業が新たな部品を購入することで複数財を生産できるモデルと,2種類の財を販売するメーカーが直接販売と小売企業を通した間接販売とにどのような財の配分を行うのかについてモデルを構築している。いくつかの制限的な仮定の下では,既に均衡を導出できているが,より望ましい知見を探るために,モデルの修正を続けている。 また,本研究をさらに発展させるために,企業が各財のブランディングについて決定できる状況をモデルに取り入れる準備を行った。具体的には,寡占市場におけるブランディングに関する研究を調査し,先行研究のモデルにおける企業が新たな製品を導入するか決定できるようにモデルの修正を行った。 本研究は垂直的市場を1つの特徴としているため,先行研究の調査の過程で得られた知識を用い,垂直的市場における抱き合わせ販売に関する研究や輸送に関する研究も行った。これらの研究は英文査読付き雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画では,先行研究に本研究の要素を直接取り入れることを想定していたが,構築したモデルが予期していないほど複雑なものとなった。そのため,当初に想定していたモデルの修正が必要となった。次に,モデルを簡素にすることに成功したが,先行研究における関連研究が多くなってしまい,他の研究とどのように差別化するのかを決定するのに時間がかかってしまった。 当初の計画では,平成28年度中に分析が終わり,最初の研究成果の執筆を開始する予定であったが,現在は分析が概ね終わっている状況にとどまっている。したがって,進捗状況は「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画に大きな変更はない。研究実施計画に記載した通り,財の種類を制限し,そのモデルの中で新たな知見を探していく。平成29年度は分析結果をとりまとめ,論文として完成させることを目指す。また,平成28年度中に発見した企業のブランディングという要素をモデルに取り入れ,その効果を明らかにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究実施計画に記載した研究を論文としてまとめることができなかったため,英文校閲費や投稿料などが未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
完成した論文の英文校閲費や投稿料,学会での研究報告のための旅費などに使用する予定である。
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Research Products
(1 results)