2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research on product selection of multi-product firm and its inefficiency
Project/Area Number |
16K17116
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
水野 倫理 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (60589315)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 複数財 / 販路選択 / 垂直的市場 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の研究では,これまでの研究で得られた重要な結果を成果としてまとめた。 まず,本研究の中心的課題である複数財生産企業がどのような製品選択を行うのかについての研究成果が得られた。これは,水野 (2018) として国民経済雑誌から出版された。この研究では,ネットワーク外部性を伴う財を販売している製造業者が,新たに低品質な財を導入する場合における販路選択について分析を行った。選択可能な販路として,小売業者を通じた間接販路と消費者へ直接販売する直接販路を考えた。分析の結果,製造業者は新製品の販売に関して,直接販路と間接販路の両方を用いることが示された。一方,両販路の使用は競争を強めることになるため,小売業者の利益の観点から望ましくないことが分かった。また,ネットワーク外部性の程度が上昇することで,各販路選択の利潤差にどのような影響を与えるのかについても分析を行った。 また,本研究では垂直的な市場における企業行動について分析を行っていたため,その副次的な成果を Mizuno and Takauchi (forthcoming) としてManchester School から出版することとなった。この研究では,川上企業の費用関数が凸となっている状況において,同質財価格競争を行うモデルを分析している。また,川下企業は異なる2国に立地しており,政府はこの川下企業の輸出に関して関税もしくは補助金を課すことを考えている。分析の結果,川上企業の一定割合が貿易政策を行う国に所属しているなら,政策の内容と製品差別化の程度には非単調な関係が成立することが分かった。
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