2016 Fiscal Year Research-status Report
国際製品規格への対応と企業構造の変化―費用構造・生産性・マークアップへの影響
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16K17117
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
本田 圭市郎 熊本県立大学, 総合管理学部, 講師 (20707848)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非関税障壁 / 需要構造 / マークアップ率 / AIDSモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は、以降の研究の土台となる基礎調査として、関連文献の調査と、需要側から見た非関税障壁の影響分析を行った。 ①生産性測定についての関連文献の調査:今後行う必要があるのは、企業レベルの生産性の測定と、需要構造を分析する構造推定モデルの推定である。そこでH28年度は、生産性測定についての近年の研究の調査を行った。広く用いられているOlley and Pakes(1996)やLevinsohn and Petrin(2003)に加え、その発展形であるAckerberg et al.(2015)、それらの活用状況などを把握することができた。また、包絡分析法(DEA)や確率的フロンティアモデルなど、データの制約がある場合の対処としてモデル推定に頼らない他の手法の調査も進めた。 ②簡易的な手法による需要構造分析:Berry et al.(1995)に始まる構造推定アプローチは、需要構造の推定からマークアップ率などを計算するものである。H28年度はその前段階として、簡易的な手法により需要構造を把握するべく、Almost Ideal Demand System(AIDS)モデルを用いて複数財・市場・政策を対象に分析を行った。具体的には、これまでの研究で扱った鶏肉市場、生鮮野菜・果物市場の例としてオレンジ市場について分析を行い、他にもスマートフォン市場などの製造業のデータ整備を進めている。引き続き、AIDSモデルを用いて複数市場で構造を確認しながら対象とする市場を見極め、より柔軟な形で分析可能なBerry et al.(1995)タイプの推定に進む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展している。他研究者と共に分担で様々な市場に注目することで、多くの市場の特性や政策を調査することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の課題として、貿易データを集計データとして用いる際の欠損値の問題がある。AIDSモデルも離散選択モデルも、需要をシェアとして捉え、価格による影響を分析するが、貿易データの場合は貿易実績のない月があり、その場合の価格の扱いに注意が必要である。一部の先行研究では前後のデータから補間を行うなどの処理をしているが、その是非やそれが不可能な場合の対処などを今後検討する必要がある。必要に応じて、トービットモデルのような形で貿易実績なしのサンプルを考慮する可能性もあるため、推定モデルの調査も併せて行う予定である。
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Causes of Carryover |
熊本地震発生により、当初計画よりも物品費の支出が多く、旅費の支出が少なくなった。購入物品や出張計画の修正に伴い、金額に誤差が生じたため、わずかな金額ではあるが翌年度へ繰り越しを行う。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度同様、物品購入費を当初計画より多めにし、その分海外出張などを減らして研究環境を整えることを優先する。
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