2018 Fiscal Year Annual Research Report
International Product Standards and Firm Structure: Impact on Cost, Productivity and Mark-up
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16K17117
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
本田 圭市郎 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (20707848)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非関税障壁 / RoHS指令 / 残留農薬基準(MRL) / 費用構造 / 輸出行動 / 需要関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度は、昨年度に引き続き、食品の安全性向上を目的とする残留農薬基準(Maximum Residue Limit, MRL)の影響の分析を行った。具体的には、昨年度行っていたBerry et al. (1995)に始まる離散選択モデルによる需要関数の推定をさらに精緻化させた。当該手法により、MRLの変化がどのように影響するのか、平均的な効果だけでなくその分布まで推定し、より現実的な需要の価格・MRL弾力性を求めることができた。これを用いて、近年の規制強化政策の評価を行うべく、当初予定していたマークアップではなく、MRLが変化した場合の政策シミュレーションを行った。 上記の結果については、国際会議26th EBES Conferenceにて報告を行い、Best Paper Awardを受賞した。また、学術雑誌Eurasian Business Reviewに投稿し、採択されている。 以上を加えて、研究期間全体としては、製造業および農産業における具体的な国際製品規格および規制について、その影響を明らかにすることができた。RoHS指令およびREACH規則により、サプライチェーンで繋がっている企業は有意に費用を高めてしまう。一方で、対応ができた企業は規制を行っているEUに対する輸出を拡大することができ、需要拡大も果たせている。同様の影響が、食肉貿易における各国のMRLの影響を見た分析でも確認できている。さらに、上記の需要関数の推定により、需要の価格弾力性およびMRL弾力性を精緻に計測することが可能となった。 これら国際製品規格や規制は、非関税障壁として日本および他国経済へ無視できない影響を与える。費用の上昇と需要の拡大という相反する影響を持っているところが政策評価の難しいところであるが、それらを切り分けて検証を行った点が、本研究の重要な点である。
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