2019 Fiscal Year Annual Research Report
Labor circulation and creative cities: an NEG approach
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16K17118
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Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
猪原 龍介 亜細亜大学, 経済学部, 准教授 (20404808)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 労働力の異質性 |
Outline of Annual Research Achievements |
労働者の異質性と都市集積の関連について理論分析を行い、“Heterogeneous labor and agglomeration over generations”として論文にまとめた(Regional Science and Urban Economics, Vol. 77, pp. 367-381)。本研究では、2地域非重複世代モデルを用いて、労働者の居住選択について分析を行った。労働者は出身地に応じて差別化されているものとし、出身地以外の地域で働く際には調整費用がかかるものとする。分析の結果、労働者は長期的に一方の地域に集中化するが、この定常均衡は社会的最適とはならないことが示された。これは、労働者の集中化は世代交代を通じて次世代以降の労働者の多様性を減じることになるためである。ここで見られる市場の失敗は、各世代が自身の効用のみを最大化していることに依拠しており、つまり自身の居住選択が子孫の効用水準に与える外部効果を無視していることによる。ここで土地消費を新たに考慮すると、労働者が分散化して上記外部不経済が発生することが抑えられるため、社会的に最適な定常均衡が得られることになる。逆に、労働者数に基づく集積の経済を導入しても、集中化した定常均衡は社会的最適とはなり得ないことも示された。戦後、東京や大阪では流入人口が減少しており、地元出身者比率が増加する傾向にあることが戸籍統計などから読み取れる。これは、日本の大都市圏において労働者の多様性が低下していることを示唆しており、労働者の異質性を維持するためにはその出身地としての地方圏を維持することが必要と言える。
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Research Products
(2 results)