2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K17120
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
中澤 克佳 東洋大学, 経済学部, 教授 (20453855)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高齢者 / 社会動態 / 介護保険制度 / 介護移住 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究計画では,1:国勢調査データを用いた高齢者の地域間移動の変遷を把握すること,2:介護移住の実証分析の拡張をおこなうこと,3:ヒアリング調査の実施,を目的としていた。以下で,研究実績の概要を示す。 1番目の研究に関しては,国勢調査ごとに集計方法が異なる点で困難が生じたが,1990年調査以降の高齢者の都道府県間移動を明らかにした。東京圏(埼玉県,千葉県,東京都,神奈川県)を対象とした結果,東京から周辺三県への後期高齢者の流出超過と,東京圏以外からの流入超過が起こっていることを明らかにした。これは,推計データを用いた先行研究と同様の結果である。さらに,この傾向は時代が経るにつれて強くなってきている。本成果は,中澤克佳・小松真治(2016)「高齢者の都道府県間移動―国勢調査データを用いた考察―」『経済論集(東洋大学経済学部)』42(1) 93-105として公表済である。 2番目に関しては,男女別の介護移住を実証した"Gender differences in welfare migration patterns among the elderly in Japan"を英文査読誌へ投稿中であるほか,2005年から2010年の介護移住へ分析を拡張した「高齢者の社会動態と介護保険制度」を日本財政学会第73回大会で報告し,邦文査読誌へ投稿した(条件付き採用・修正中)。他に,「家族の変化と福祉の変化」『季刊個人金融』11(2) 28-37,「市町村合併が介護保険に与える影響」『日本不動産学会誌』30(4) 54-59を公表している。 3番目に関しては,東京圏の県庁における介護保険担当者からのヒアリングおよび東京都下自治体のヒアリングを実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で示したように,平成28年度は3本の論文を上梓し,他にも複数の論文を英文・邦文査読誌へ投稿中である。これらの多くはディスカッションペーパーとして公表済である。具体的には以下の通り。 "Identifying Discretion of Municipalities to Undertake Eligibility Assessments for Japan’s Long-Term Care Insurance Program" MPRA Paper 75565. "Free-rider behavior under voluntary amalgamation: The case of setting the long-term care insurance premium in Japan" MPRA Paper 75147. "Change in Strategic Interaction after Introducing Policy" MPRA Paper No.73512(松岡俊和氏との共著). また,2010年の国勢調査に関しては,市区町村別・年齢別の流入・流出者数のデータを構築しており,分析に着手している。 ヒアリング調査に関しても,複数の自治体関係者から話を伺うことが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
統計データを用いた介護移住の実証分析,介護保険制度を踏まえた定量的な分析に関しては,引き続き進めていく。分析が終了した研究から順次,国内外の学会・研究会での発表,査読誌への投稿を進めていく。 介護老人福祉施設等へのアンケート調査に関しては,本年度のヒアリングをおこなった複数の自治体関係者(介護保険担当)より,「介護老人福祉施設の業務が繁忙であること」,「数多くの調査が依頼されており,その対応が多いこと」から,郵送等を用いた研究者のアンケート依頼では回収率が非常に低くなる可能性が示唆された。その点を考慮し,拙速にアンケート調査を実施するのではなく,自治体や個々の介護老人福祉施設に直接訪問し,ヒアリングをおこなうことで実態把握を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
英文校正を依頼しようと考えていたが,論文の修正が年度内に間に合わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
英文校正に使用予定。
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Research Products
(6 results)