2016 Fiscal Year Research-status Report
政策担当者のインセンティブと金融政策委員会のデザイン
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16K17122
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
盛本 圭一 明星大学, 経済学部, 准教授 (50609815)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 金融政策 / マクロ経済学 / 金融政策委員会 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回のプロジェクトの目的は、中央銀行の情報透明性と金融政策委員会の設計問題に関するいくつかの基本的論点を考察し、制度設計上の含意を与えることである。具体的には、金融政策に関する情報公開の役割と金融政策委員会の意思決定との関係を分析して、その最適な人数・人員構成を再検討し、望ましい投票ルールを探ることである。これに加えて、応募者がこれまで行なってきた中央銀行の政策アナウンスメント行動についての研究を、委員会による意思決定と民間部門の戦略的依存性を考慮したモデルにおいて再検討する。 これら一連の研究は、現代の金融政策の大きな課題である市場とのコミュニケーションという問題を踏まえた上で、委員会による意思決定という制度上の新しい側面を開拓するものである。金融政策の実務上の重要事項に対する含 意の提供と具体的応用を通じたミクロ経済理論や他分野へのフィードバック効果が見込まれる。 平成28年度は、情報公開のもとでのキャリア形成意識を持つ委員の行動を前提とした金融政策モデルを作り、投票結果の公表・非公表の是非を理論分析するためのフレームワークの構築に取り組んだ。第一に、金融政策分析の舞台となるマクロ経済モデルの設定を行なった。これは伝統的に当該分野で用いられてきたLucas型フィリップス曲線を中心とした理論モデルである。また、Levy(2007)の委員会における意思決定モデルを参照して、動学マクロ経済モデルに組込むことができる形にまとめ、シミュレーション可能なモデル構築を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本モデルがある程度完成したことは、当初の計画を満たすものである。なお、シミュレーションに関する頑健性チェックを今一度行なう必要も感じており、これに関しては平成29年度の計画に組込むこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って、平成28年度に作成した基本モデルのシミュレーションを完成させ、分析内容をまとめて論文を公表する。また、最適投票ルールの分析にも着手する。また、進捗状況次第で次年度に計画する最適人数の分析について目処を立てることも視野に入れている。
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Causes of Carryover |
基本モデルに関する頑健性チェックが完遂できなかったことから、それに関する意見交換を次年度に先送りすることとなった。また、数値計算ソフトのメンテナンスも併せて行なう必要があると思われる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由から、記載された次年度使用額は旅費および数値計算ソフトのメンテナンス等に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)