2016 Fiscal Year Research-status Report
対内直接投資がインフォーマル企業の成長に与える効果： カンボジアの事例
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16K17129
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| Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
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Principal Investigator |
田中 清泰 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 研究企画部, 海外研究員 (30581368)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 海外直接投資 / フォーマル企業 / インフォーマル企業 / 企業登録 / 税務登録 / 企業ダイナミクス |
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| Outline of Annual Research Achievements |
対内直接投資がインフォーマル企業の成長に与える影響を分析する準備として、インフォーマル企業の実態について調査を実施した。特に、インフォーマル企業の改革に対するカンボジア政府の取り組みを中心に考察した。世界銀行によると、カンボジアで新しく企業を設立する手続きは、2016年時点で平均87日間の時間が必要である。この設立時間は、東アジア諸国の平均26日間に比べて非常に長い。企業設立の容易さは189か国中180位の順位である。書類手続きに関わる汚職や収賄、煩雑な事務手続きを削減するために、2015年12月にオンラインベースの企業登録システムの運用が始まった。現地メディアの報道から、書類ベースの行政手続きをオンライン化したことで、企業登録情報の手続きや管理は、政府にとっても企業にとっても容易になったことが分かる。しかしながら、オンライン化によって企業登録の手続きコストが減少したにも関わらず、多くの事業者が企業登録をしていない実態が示唆されている。特に、売上などの基本的な会計情報を電子化してない中小・零細事業者は、企業登録の手続きが書類ベースからオンラインベースの方法に変更されても、企業登録をしていない可能性が高い。また、行政手続きをオンライン化しても、手続きを担当する政府役人の能力や汚職文化はすぐに変わらないため、汚職や非公式な規制の問題が劇的に改善していないことが示唆される。企業登録の手続きオンライン化はなぜ期待した効果をもたらさないのか、という疑問が残る。改革の効果が出るにはまだ時間がかかる可能性もあり、今後の評価が必要である。しかし、オンライン化によって登録手続きのコストが削減されれば、企業登録が増えると期待できるが、現状は期待に沿っていない可能性がある。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究プロジェクトの初年度の目標は、外資企業およびインフォーマル企業に関する先行研究の整理や、カンボジアにおける企業活動の実態について調査を行うことである。この観点から、発展途上国におけるインフォーマルセクターに関する学術研究の基本的な問題意識や先行研究の成果を確認できた。また、カンボジアにおけるインフォーマル企業や外資企業に関して、企業活動や労働者の雇用、企業登録など、基本的な情報をインタビューによって把握することができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
研究プロジェクト2年目は、カンボジア企業データの購入を進めて、企業レベルのパネルデータを構築していく。具体的には、Establishment Listing 2009, Economic Census 2011, Inter-censal Economic Survey 2014 のミクロデータを、カンボジア計画省統計局において購入手続きを行う。Establishment Listing とEconomic Census は、カンボジアにおける製造業およびサービス業の全事業所・企業を対象とした調査で、規模の大きなミクロデータである。一方、Inter-censual Economic Census は、Economic Census をベースに実施した標本調査である。各調査データから事業所・企業の立地情報および調査番号を活用して、各年次のミクロデータを接続していく。
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| Causes of Carryover |
カンボジアの経済データ購入を次年度に変更したことや、論文の英文校閲を実施しなかったため。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
カンボジア経済データの購入や論文の英文校閲、研究打合せのため海外出張などに使用する計画。
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