2017 Fiscal Year Research-status Report
公共インフラ資本と垂直的財政移転に関する政治経済学的理論研究
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16K17130
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
岡部 智人 一橋大学, 経済研究所, 講師 (50768364)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 政府予算 / 政治要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第一義的な焦点は、中央・地方政府間の垂直的財政移転(再配分)における、政治的歪みの生じるメカニズムを政治経済的観点から考察することである。 平成29年度は、このテーマについて、理論モデルを構築すること(理論研究パート)に引き続き注力した。具体的には、中央政府には、地方の社会資本の生産性が直接観察できず、且つ、種々の政治的な配分制約があるという仮定のもと、地方政府へのインセンティブを供与するための効率的再配分システムを検討した。特に、11月から12月にかけては、研究協力者(Dr. Timothy Kam)の所属先大学(オーストラリア国立大学)に滞在し、有意義な研究打ち合わせを行うことができた。しかしながら、モデルの解の存在証明に困難な箇所が見つかったことから、現状では成果を論文として纏めるには至っていない。理論的考察については引き続き検討を行っていく所存である。 一方、今後は、実証的な観点から、政府予算に与える政治的要因を明らかにすること(実証研究パート)にも注力していきたいと考えている。具体的には、国家間パネルデータを用いて、政府支出と政治要因(例えば、大統領制・議会制等の政治システムや民主主義の度合いを表す政治指標等。)との関係について回帰分析を行っていく予定である。現在のところ、参考とする政治的予算サイクル(political budget cycle)の文献を調査・精読している状況で最終的には地方政府・中央政府間の資源配分についても同様の分析を進めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論研究パートにおいては、研究協力者とオンライン上で関係書類(計算結果等)を共有し、必要に応じて、打ち合わせを行っている。一方、実証研究パートにおいては、参考文献とデータを収集している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
理論研究パートについては引き続き、モデル構築の試みを継続する方針である。 実証研究パートについては、国家間パネルデータの整備を早期に進めて、最終年度内にワーキングペーパーとして纏めることを目標とする。 また、平成30年度は、10月から11月にかけて、ドイツのコンスタンツ大学を訪問し、短期在外研究する予定である。同大学には、財政学や政治経済学の研究スタッフが多く揃っていることから、本プロジェクトについて有意義な意見交換を行いたい。
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Causes of Carryover |
(理由) 日程調整がつかず、年度内に2回予定していた海外出張を1回に縮約したため。 (使用計画) 海外出張(ドイツ/コンスタンツ大含む)や文献等の購入に充当する。
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