2017 Fiscal Year Annual Research Report
Panel Data Analysis on Healthcare Inequality
Project/Area Number |
16K17132
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
田村 正興 名古屋商科大学, 経済学部, 講師 (00711590)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 不平等 / 医療政策 / 医療経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「日本家計パネル調査」(慶應義塾大学)を用いることで、日本においての医療の不平等性を測定し、それが近年拡大しているかどうか、またリーマンショックなど景気変動が医療の不平等性に与える影響の大きさを測定した。より具体的には、人々ごとに医療のニーズと実際の医療費支出の差を推定し、その差がどの所得階層でどの程度の大きさなのかに着目した。不平等指数を作成し、所得階層による医療の不平等性の存在と、年ごとの不平等性の変化を調べた。
結果として、日本には所得階層による医療の不平等性が存在すること、不景気になると不平等性が拡大するなど景気変動により医療の不平等性は大きな影響を受けること、また特に高齢者での医療の不平等性が大きくなっていることなどが確認できた。これらの結果は、高額療養費制度や自己負担率の変更などの医療政策のあり方を考える上で重要なエビデンスの一つになると考えられる。
研究成果は日本経済学会などの国内学会、International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Researchなどの国際学会で報告を行った。また、研究成果は論文の形にまとめており、英文ジャーナルで発表する予定である。また、これからの研究の展開として、推定法を変更することで医療ニーズをより正確に捉えること、また、政治哲学の知見に基いた別の不平等概念を適用してこの測定を再度行うことを考えている。
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Research Products
(2 results)