2017 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児期の子どもへの関わりと子どもの発達に関する経済分析
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16K17133
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
野崎 華世 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 講師 (40588927)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経済政策 / こどもの発達 / 女性労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「乳幼児期の母親の就労とその後の子どもの発達に関する研究」を行うため「乳幼児期における子どもとの接触時間とその後の学校生活に関する分析」を中心に研究を進めた。内生性を考慮した操作変数法による分析の結果、乳幼児期の母親の就労と11歳時点での子どもの学校生活の充実度には関連が見られない一方で、親との接触時間、特に父親との接触時間が正の相関を持つことを示した。加えて、家庭内での育児時間分担との関連では、父親の分担割合が高いほど正の相関を持つことを示し、夫婦の共同育児が子どもに正の影響を与えている可能性を示した。これらは、育児・介護と仕事の両立や長時間労働の是正等の働き方改革とも符合するものであり、乳幼児期の子どもを持つ母親の就労サポートの更なる充実に加え、父親の短時間労働や育児休暇制度の利用促進が、子どもの発達に正の影響を与えることを示唆している。 また、現在の日本において子どもが置かれている状況を把握するために、いくつかの分析を行った。具体的には、「奨学金受給とその後の社会経済達成に関する分析(共著)」、「子どもの学力の性差に関する分析(共著)」、「世帯所得が子どもの学力および教育費支出に与える影響(共著)」を行い、これらは学術雑誌やディスカッションペーパーに掲載されている。今後もさらに個票データを用いて、乳幼児期の母親の就労と子どもの発達の関係及び日本における子どもの発達の現状に関する分析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の予定通り、「乳幼児期における子どもとの接触時間とその後の学校生活に関する分析」のデータ分析を進め、国内のいくつかの学会、研究会等で研究報告を行い、有益な助言をいただいた。
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Strategy for Future Research Activity |
「乳幼児期における子どもとの接触時間とその後の学校生活に関する分析」については、引き続き、学会、研究会等で研究報告を行うと共に、いただいたコメントをもとに修正・改訂を行い、査読雑誌への投稿を行う。加えて、動学的な分析も行っていく。
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Causes of Carryover |
(理由) 前年度同様、データ整備に関して、適格者の選定が難しく、自らで行ったため、人件費を抑えることができた。加えて、海外での研究報告を予定していたが、国内で開催された国際学会に参加することとしたため、旅費の支払いが当初予定より減額している。 (使用計画) 本年度は、海外での研究報告を行うと共に、計量分析ソフトの購入、教育経済学・労働経済学・計量経済学等の関連図書の購入および英文校閲費として使用する予定である。
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Research Products
(9 results)