2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K17134
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
長谷部 拓也 上智大学, 国際教養学部, 助教授 (60748896)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Nursing Profession / Labor Supply / Polychotomous Choice |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は看護職への労働供給の決定要因を探る実証分析を行うことを目的としている。 平成28年度は、既に看護職に従事しているものでだけでなく、潜在的な看護職員も分析対象とし、就業選択および職業選択を考慮した計量モデルの構築し、統計ソフトStataによるプログラミングを行った。具体的には、非就業と看護職、さらにそれ以外の職業、と3つのカテゴリーからなるMultinomial Logitモデルで、それぞれカテゴリーでの潜在的賃金を主な説明変数としてしている。各個人で異質の選好の持つことを考慮し、各個人で説明変数の係数が異なることを許容したMixed Logitモデルをシミュレーションを通じて推定している。潜在的賃金は自己選択バイアスをノンパラメトリックに考慮して推定した賃金関数より算出している。この計量手法を使用し実証分析を行った。 用いたデータは、アメリカに於いて全国規模で看護師資格を有するものを対象にした調査であるNational Sample Survey of Registered Nurses (NSSRN)の個票データである。これまでに得られている主な結果として、非就業と看護職の選択肢のみのモデルに比べ、看護職以外への選択を追加的に考慮してモデルの方が、看護職の就業確率の賃金弾力性がより大きいと推定している。これは先行研究の指摘している点と整合的である。また、平成28年度にはカリフォルニア大学デービス校を短期的に訪問滞在し、Byung-Kwang Yoo教授から今後の研究を遂行するにあたり有益な助言を得ることが出来た。助言に従い、次年度は、より緻密な分析を行うと同時に、分析結果から得られる政策的含意を深く掘り下げる予定でいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで得られた分析結果をまとめ論文を執筆しており、国内および国際学会での報告も予定されている。この点においては概ね計画通りに研究は遂行されていると考えられる。当初の計画に於いては、NSSRNを主なデータとして使用し実証分析することに加えて、いくつかの異なるデータで追加的分析を行うことも検討していた。しかしながら、それらのデータの取得もしくは整理を行えておらず追加的な分析を行えていない。この点を踏まえて、自己評価として「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、分析手法の緻密化および追加のデータを用いた分析を行うことを検討している。また論文改訂に際して、分析結果の政策的含意に関して討論を追加する予定である。研究の深化を図り、引き続きカリフォルニア大学デービス校Byung-Kwang Yoo教授に意見を求める予定である。また、学会報告などを通して他の研究者の方々とも意見交換を予定している。頂いた意見を踏まえて論文を完成させ、学術雑誌への投稿を進める予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では分析の便宜のためにデータ形式変換ソフトウェアであるStat Transferの購入費用を計上していたが、オープンソースのソフトウェアを代替的に使用したことにより残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に国内外の学会での論文報告のための渡航費として使用する計画である。また、学術雑誌への投稿にあたり、英語校正のための費用と投稿費としても使用する予定である。
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