2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17135
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
平賀 一希 東海大学, 政治経済学部, 准教授 (40528923)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 公共投資 / 地域別経済変数 / 産業別経済変数 / ワグナー法則 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、公共投資や減税などといった財政政策が都道府県や州などといった地域別、ないしは産業別の経済変数に与える影響について、統計データを用いた実証分析、および経済理論を用いた検証を行っていく。具体的には、実証分析においては地域別や産業別といった変数について、パネルデータ分析ないしは因子分析や主戦分分析を応用したダイナミックファクターモデルないしはFAVAR(Factor Augmented VAR)モデルを用いて多くのデータについての分析を行う。本研究における現時点での実績として、以下の2点の研究プロジェクトを挙げることができる。 第1に、公共投資(ないしは社会資本ストックの蓄積)が産業別株価に与えた波及効果に関する実証分析である。社会資本ストック蓄積を通じた日本の産業別株価に与える影響について分析を行い、1991年以降においては社会資本ストックが株価に対してGrangerの意味での因果関係が見られず、株価維持政策としての効果は見られなかったことが分かった(Miyazaki, Hiraga and Kozuka (2018, Finance Research Letters (Forthcoming)))。 第2に、経済成長が政府規模に及ぼす影響を地域レベルで分析した研究である。財政学の古典的な議論であるワグナー法則(ワグナーの予算膨張仮説)が州レベルで成立するかについて、財政の独立性が高いアメリカと水平的・垂直的財政移転制度が強いドイツのデータを用い、比較検証を行った。分析結果としては、アメリカの州についてはワグナー法則が当てはまるが、ドイツの州については、ワグナー報告とは逆の結果となっていることが分かった(Funashima and Hiraga (2017, International Tax and Public Finance))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に関連する論文が2本英文査読誌に掲載が決定し、予定よりも早く研究成果を出すことができた。また、公共投資が産業別株式収益率に与える影響に関する研究がまとまってきており、近日中にWorking Paperとして発行され、海外査読誌への投稿を行う段階となっている。 理論分析に関する研究については、他部門モデルに拡張したモデルセッティングの検討を行っており、今年度中に研究成果をDiscussion Paperにまとめ、海外査読誌に投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
他部門Dynamic Stochastic General Equilibriumモデルを構築し、その中で公共投資ショックや増税ショックが経済に及ぼす波及効果を分析する。具体的には、社会資本の生産力効果が異なる産業がある他部門モデルにおける公共投資増加による社会資本ストック蓄積が各産業や産業間に及ぼすスピルオーバー効果を定性的、かつ定量的に検証することを行う。また、最終財と中間財からなる2部門モデルにおいて、消費税制が付加価値ベースの多段階課税を行うのか、それとも最終財にのみ課税する単段階課税のほうが望ましいのを厚生分析を行う研究も行う予定である。
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Causes of Carryover |
2017年度に使用する予定であった人件費が、作業効率の改善により、当初より少ない額で済んだため。請求した助成金に加え、海外学会での報告を増やし、より多くの海外の研究者と意見交換を行い、海外査読誌への掲載の可能性を高めること、および国際共同研究に繋げるために使用する予定である。
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Research Products
(5 results)