2018 Fiscal Year Research-status Report
人事制度・施策の改革と労働意欲・生産性-インサイダー・エコノメトリクスによる分析
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16K17137
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 隆志 明治学院大学, 経済学部, 教授 (60437283)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 人事制度 / 労働意欲 / 生産性 / 補完性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画において最終年度である平成30年度には、50社程度のデータを収集予定となっていたが、すでに延べ80社程度の規模となっている。日経NEEDS、会社四季報、CSR企業総覧など他のデータソースによる財務データや企業統治データの作成についても作成し、分析ができる状態になった。 これらを用いて論文「企業統治と雇用システム」を執筆し、『企業統治と会社法の経済学』研究会にて報告し、さらに同名の書籍に収録される予定となっている。この論文では、株主重視型の企業統治のあり方と、成果主義的な性格の強い賃金制度との間に、補完性の存在が示唆される結果を得ている。一方で、成果主義の弱点とされる近視眼的な目標設定、同僚との協力や部下の育成などの例があるマルチタスク問題、チーム生産によるモラルハザードの克服については、企業統治のあり方との明確な関係を見いだせなかった。 ただ、欠損値などを考慮すると、実際の分析には延べ50社程度が使用できるに過ぎず、これは研究計画の通りではあるものの、統計的な信頼性を確保した上で今後さらに複雑な分析を進める上ではサンプルのさらなる拡充が必要であると考えられる。 関連する研究の進捗状況としては、齋藤隆志(2018)「日本企業のWLB 施策と生産性─電機産業企業のパネルデータによる実証分析─」『明治学院大学産業経済研究所年報』第35号、pp.23-33を執筆し、また昨年度末に投稿した「労使コミュニケーションは成果主義の導入効果を高めるか?」の改訂と再投稿を行った。また「賃金制度と働き方の選好に関するコンジョイント分析」を2つの研究会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
人事制度・施策の改革や、それと企業統治のあり方や企業行動の変容の関わりに関しては、限定されたデータではあるものの分析をある程度進めることができた。しかし最終的な研究目標である、これらの従業員の仕事満足度や幸福度との関わりについては、最終的な結果を示せていない。理由としては、豊富な従業員調査データを活用するために、それとマッチする人事制度・施策調査のほうのサンプル企業のさらなる拡充を目指したことと、2019年度の在外研究のための準備に時間をとられたことがある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は研究に専念できる環境にあり、データの拡充も進む見込みであることから、当初平成30年度に予定していた計画を完遂できる予定である。
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Causes of Carryover |
上述の通りの理由で、平成30年度は研究計画からやや遅れている状況となり、次年度使用額が生じた。今年度は、昨年度実施できなかったデータ購入、英語論文校正、海外学会への参加費に用いる予定である。
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