2019 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of Mental Illness across Parent-child Generation
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16K17145
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
牛 冰 大阪府立大学, 経済学研究科, 准教授 (90756363)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メンタルヘルス / 教育投資 / 生活費 / 貯蓄額 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、本研究課題における第3弾の実証分析を行いました。具体的には、日本の家計における母親のメンタルヘルス(精神状態の良さ)が子どもに対する教育投資と子どものための生活費や貯蓄額に与える影響を明らかにしました。 子どもの貧困、教育や健康等には、世帯属性の特徴や親の経済行動が大きく関わっていることが先行研究で明らかにされており、中でも母親による影響力の大きさが指摘されてきました。以上の背景を踏まえ、本研究では、「消費生活に関するパネル調査」の個票データを用いて、2000年から2015年までの期間中のある1年間にうつ病を患った既婚女性のうち子どものいる者を研究対象とし、彼女らの1年前の情報を特定した上で、最小2乗法および一階差分モデルを応用しました。 主な研究結果は、以下通りです。まず、子どもに対する教育投資と子どものための生活費や貯蓄額(以下、アウトカム)に対する母親がうつ病を抱えていることの直接的な影響について、うつ病はそれぞれのアウトカムに有意な影響を与えていませんでした。子どもの数が増えると子どもに対する教育投資は減少したが、子どものための生活費と貯蓄は有意に増加しました。次に、母親の所得の効果経路を介したアウトカムに対する母親がうつ病を抱えていることの間接的な影響について、同効果経路を介した、母親がうつ病を抱えていることのアウトカムに与える影響は有意ではありませんでした。自営業と比較し、母親のアルバイト勤務は、子どものための貯蓄額に有意に負の影響を与えました。最後に、母親の家計における意思決定権の強さ(Bargaining power)の効果経路を介したアウトカムに対する母親がうつ病を抱えていることの間接的な影響について、同効果回路を介した、母親がうつ病を抱えていることのアウトカムに与える影響も有意ではありませんでした。
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Remarks |
最終年度年度末の3月には、国際共同研究相手の研究機関(米国、マサチューセッツ大学)で研究発表と特別講演を行う予定でしたが、新型コロナウィルスの影響を受けて、やむを得ず中止になりました。
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