2019 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical and empirical analyses on current account imbalances in countries with aging populations
Project/Area Number |
16K17147
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
稲垣 一之 南山大学, 経済学部, 准教授 (70508233)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 経常収支 / 平均寿命 / 多項式共和分 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国に対するアメリカの2国間経常収支赤字額の大きさについて、中国による平均寿命のキャッチアップが重大な影響を持っていることを明らかにすることができた。具体的には、以下のとおりである。 実証分析では、最新の計量経済学のテクニックである多項式共和分を使用して、アメリカの対中国経常収支が両国の平均寿命ギャップとU字型の関係を持つことを示した。この発見は、経常収支に関する学術研究では初めてのことである。さらに、このU字型関係を裏付ける実証的証拠が、同じ多項式共和分のテクニックを使用して、中国国内の貯蓄率と平均寿命の関係からも観察された。 理論分析では、2国世代重複モデルのパラメータにアメリカと中国のデータを当てはめて、シミュレーション分析を行った。その結果、高齢者の労働をモデルに加えた場合に、実証分析で明らかになった経常収支と平均寿命ギャップのU字型関係を、理論的に高度に再現できることが明らかになった。言い換えれば、実証的に初めての発見であるU字型関係について、理論的根拠を与えることに成功した。 以上の分析結果は、国際金融論のトップジャーナルに投稿された。2名の審査員のうち、1名は好意的であったが、もう1名のコメントにより採択には至らなかった。2名のコメントは大変有益であり、論文を修正したうえで別のジャーナルに投稿中である。また、前年度までに行った、高齢労働供給と平均寿命の相乗効果が経常収支に与える影響についても、論文を大幅に修正して、ジャーナルに投稿中である。以上の研究成果は、全てディスカッションペーパーとして発表された。
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Research Products
(6 results)