2020 Fiscal Year Annual Research Report
The impact of non-traditional monetary policy on income and consumption inequality in Japan
Project/Area Number |
16K17149
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
英 邦広 関西大学, 商学部, 教授 (40547949)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 金融政策 / 所得格差 / 消費格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は令和元年度が研究最終年度であった。しかし、令和元年度の1月下旬から新型コロナウイルス感染症の拡大が深刻化したことで、参加予定であった学会・研究会・セミナーが急遽中止になり他の研究者からの意見等を聞く機会が失われたり、資料収集や調査による作業を一時的に中断・延期する必要性が出てきたりした。このことで、非伝統的金融政策下での金融政策と資産格差、金融政策と所得格差、金融政策と消費格差の関係に関して十分に検証できていない点も出てきたため、研究期間を1年間延長した。 当該年度では、まず、アベノミクス期を含む2013年から2020年にかけての資産、所得、消費の推移を観察し、次に、金融緩和政策と所得・消費格差の関係に注目して検証を行った。主な研究成果として次の4つが得られた。1つ目に、日本銀行が金融緩和政策としてマネタリーベースを増加したことで、低所得層と高所得層の所得と相対的な食費に対して影響を与えていることが確認されなかったことが分かった。2つ目に、株価が上昇したことで、低所得層に対しては所得を引き上げる効果があることが確認され、高所得層に対しては相対的に食費を引き上げる効果があることが確認された。3つ目に、経済成長が起きたことで、低所得層に対しては所得を引き下げる効果があることが確認され、高所得層に対しては相対的に食費を引き下げる効果があることが確認された。4つ目に、所得が上昇したことで、低所得層に対しては相対的に食費を引き下げる効果があることが確認され、高所得層に対しては相対的に食費を引き上げる効果があることが確認された。上記の研究成果は、「日本における金融政策と所得・消費格差に関する一考察」というタイトルで論文にまとめ、現在、公刊されている。
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