2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K17153
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小笠原 浩太 千葉大学, 法政経学部, 特任助教 (00733544)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 公衆衛生 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロジェクトの第一年度となる本年度は、主に資料の蒐集とその電子化に重点を置いた。第一に、国内の図書館に所蔵されている紙媒体の資料を新たに蒐集し、公衆衛生政策に関する都市別のパネルデータを整備した。これにより、次年度以降の統計解析に用いるデータベースがほぼ完成した。また、本データに関連する都市部の疾病データを利用した論文を国際学会(University of Sussex)において報告し、複数のコメントを得た。さらに、E. Schneider氏 (London School of Economics & Political Science)と関連する研究課題を共同で進め、本研究課題についても有意義な示唆を得た。研究報告等で得たコメントに基づいて、次年度以降の統計解析に用いる統計モデルの定式化を開始した。第二に、これら作業と並行して、すでに整備を終えた町丁目別格子データを用いて東京市の上水道設備が死亡リスクの低下に与えた影響を定量的に分析し、2本の論文を国際学術誌に投稿した。査読の結果、両論文ともに改訂の要求を得たため、査読者からのコメントに従って改稿し採録が決定した。第三に、都市別パネルデータからは得ることが難しい情報を補完するために、すでに整備を終えた府県別多次元パネルデータを利用して、疾病環境が子どもの成長や健康に与える影響を定量的に分析した。得られた解析結果は、複数の検定について頑健であることを確認したため、それらを論文にまとめ、査読付き国際学術誌に投稿し改訂要求を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
町丁目別格子データを用いた論文が、経済史分野の国際学術誌であるCliometricaに採択されたことが、本年度の主な成果と言える。また、これに関連する副次的論文が、統計学分野における国際学術誌であるScandinavian Journal of Statisticsに採択された。これらに加えて、府県別の多次元パネルデータを用いた論考についても、医療経済学分野の国際学術誌から改訂要求を得ており、研究の進捗状況は当初の計画を上回っていると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
府県別の多次元パネルデータを用いた論文については、査読者の要求に従い改訂を進め、次年度内の採録を目指す。都市別パネルデータを用いた公衆衛生政策の評価については、1920年代から1930年代にかけて進められた上水道設備の導入と拡張が人口変動に与えた影響を分析したいとを考えている。その際、処遇効果の異質性を把握できる統計モデルを新たに応用したいと考えている。
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Causes of Carryover |
差額の多くは、海外出張に係る航空券の価格が予想よりも低かったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、研究発表と共同研究のための出張旅費に充当する予定である。
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