2016 Fiscal Year Research-status Report
部門文化の多様性を活用した組織の活性化および革新プロセスの解明
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16K17160
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横尾 陽道 千葉大学, 法政経学部, 准教授 (30382469)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 企業文化 / 部門文化 / 多様性 / 創造性発揮 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は,①基本的分析枠組みの確認,②組織の多様性と創造性発揮に関する他領域における研究成果の検討,③②の企業文化研究への応用可能性の検討,④量的研究と質的研究をつなぐ研究方法の検討,⑤具体的な研究デザイン・モデルの検討,⑥既存調査データの整理・検討,⑦アンケート票設計のための予備的調査を実施した。 ①に関しては,研究者と実務家に対して分析枠組みの妥当性を問い,全社文化と部門文化の関係性について若干の修正を施した。②と③に関しては,経済社会学や心理学領域等,他領域における多様性と創造性発揮の関係性にふれた文献を渉猟した結果,企業文化の概念は本研究における定義から経営諸要因に広く及ぶことため,これらの知見は企業文化研究においても十分応用可能であることを理論的に確認した。④に関しては,混合研究法を中心に量的研究と質的研究の実施タイミング,ウェイト付け,混合方法を考慮し,本研究と諸研究デザインとの適合性を検討した。同研究法以外でも,田村(2006)等で量的研究と質的研究を相互補完的に用いる研究方法の基本的な考え方を確認した。⑥に関しては,国内製造業の経営に関する全般傾向の把握や本研究の調査対象企業を選定する目的で,当初は戦略経営研究グループによる2001年度調査からのデータを使用する予定であったが,同グループより1995~2000年度の調査データを新たに提供されたことから,約20年間に及ぶ調査データの整理を行った。このことにより,国内製造業のより長期的な全般傾向の把握のみならず,約20年間のアンケート回答企業や個別企業の時系列データの推移も把握することが可能となった。⑦に関しては,国内の大企業2社に対して予備的インタビュー調査を行い,異部門間の連携内容,連携による相互作用,具体的な成果等について,より詳細なプロセスを把握することができ,今後の研究展開において大いに意義があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論研究に関しては,本研究の基本的分析枠組みについて研究会や予備的インタビュー調査等の機会で研究者と実務家と議論を行うことによって再検討を行い精緻化できたこと,また文献研究によって他領域での知見を企業文化研究へ応用できる可能性を確認できたことから,予定どおり順調に進んでいる。量的研究と質的研究をつなぐ研究デザインに関しては,実証研究を実施するための具体的なモデルを決定するには至らなかったものの,混合研究法をはじめとする研究手法を参考に量的研究と質的研究をつなぐ研究デザイン・モデル案を複数検討することができたため,概ね順調に進んでいる。しかしながら,当初予定していなかった過去データを利用することが可能になったことで,時系列データの整理と検討に予想以上の作業量,時間,費用を要したため,部門文化の相互作用に関するアンケート調査を実施することができなかった。また,量的研究と質的研究をつなぐ具体的な研究デザイン・モデルを決定できなかったこともこのことに起因する。
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Strategy for Future Research Activity |
先ずはH28年度の研究で再検討を行った基本的分析枠組みと整理・検討を行った約20年間の戦略経営に関する調査データをもとに,複数の研究デザイン・モデル案の中から具体的な研究デザイン・モデルを絞り込んでいく。この研究デザイン・モデルにもとづき,部門文化の相互作用に関するアンケート票を設計し,調査を実施することで量的データの収集,分析,考察を行う。その際,理論的なアイディアをアンケート票に具体的な要因として落とし込んでいくために,企業文化関連の要因のみならず,成果指標として①組織の活性化に関わる具体的な指標,②組織の革新に関わる指標を理論的に精査しておく必要がある。また,質的データの収集,分析,考察をどのタイミングで行うかは採用した研究デザイン・モデルによるが,インタビュー調査を中心に適切な質的研究の方法を検討した後,調査を実施していく。これらの各段階においては,適宜,研究者および実務家と議論しつつ進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)