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2016 Fiscal Year Research-status Report

非市場戦略の「実施」に関する研究:日本の出版業界を中心に

Research Project

Project/Area Number 16K17166
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

遠藤 貴宏  神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (20649321)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords制度論 / 商慣行 / 政府と企業 / 正当性 / コンテキスト / 制度 / 非市場戦略 / 正当化
Outline of Annual Research Achievements

本課題は、出版業界の定価販売に関わる業界と政府の相互作用を事例研究の対象として、非市場戦略の実施について検討するものである。規制のあり方に対して働きかけを行うことの効果の測定を行った研究をはじめとして、企業の「非市場戦略」に関しては近年研究が増えつつある。しかし、本研究のような「実施」に注目した研究は極めて少ない。
2016年度は、これまでに収集したデータを一貫した視点から分析するために、①フレームワークを構築すること、②実際にフレームワークを援用して分析すること、の二つの主たる活動にささげられた。非市場戦略の実施を分析する上で、本研究は「社会的な受容」を意味する正当性(legitimacy)および「社会的な受容を実現するため」の手段である正当化(legitimation)の観点からアプローチした。すなわち、「定価販売の正当性に関して、業界関係者が正当化を行った」という観点から、事例分析を行っていった。
こうした知見は、正当性というものが、不断の正当化によって保たれているものであるという点を再認識させるものである。実際、こうした知見は、これまでの関連する研究ではしばしば見落とされてきた点である。
こうした知見を提供したことの学術的意義は次の通り要約できる。非市場戦略の「実施」に光を当てるための一つの道筋を示したことである。非市場戦略の「実施」に関して、光を当てることは必ずしも容易ではないと考えられてきた。特に、どのような種類のデータを用いることで、「実施」を分析することができるのか、明確な視点は提示されてこなかった。しかし、本研究が示唆するのは、特に正当化という視点に絞ることで、この点を克服することが可能である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初は、本科研の助成期間中にフレームワークの構築および分析を終了し、その集大成として第一線の国際ジャーナルに投稿・受理させることを目的としていた。しかし、上述のように、非市場戦略の「実施」を分析する上で、正当性と正当化という観点からの分析の有効性にたどりついた。この観点に基づき、現在までに収集したデータを一貫した視点から分析した。その成果は、下記の投稿論文として、2017年の3月にBusiness Historyより、「条件付採択(conditional acceptance)」を得るに至った。

Endo, T. (forthcoming) Legal structure, business organisations and lobbying: The Japanese publishing sector, 1990-2001. Business History.

Strategy for Future Research Activity

当初の計画よりも研究が進展している。そのため、上記のBusiness History論文に関連する別の論文を執筆していく一方で、本研究の知見を更に発展させるための活動にエネルギーの大部分を注ぐことを計画している。

具体的には、本研究で得られた知見を他の事例に対して拡張的に適用し、分析フレームを精緻化していくことを計画している。そのために、「正当性」および「正当化」を中心に据えて、他の事例研究を行う準備を行っている。

特に、本事例は日本国内の規制に関連する事例に焦点を当てたが、①日本企業が海外に進出する際の非市場戦略の実施や、②規制以外の、例えば、自主基準の制定と非市場戦略の実施、に関しても射程に入れていくことを考えている。

Causes of Carryover

当初の予定よりも、計画が進展した。そのため、新たな事例研究を行うための探索を行うことが有用であると考えられた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

新たな事例研究を行う上で、探索活動に使用することを計画している。具体的には、日本からベトナムに進出している企業と、現地ベトナム政府の非市場戦略の実施を見る上で、ベトナムに出張して、パイロット調査することを計画している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 2016

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results)

  • [Journal Article] Legal structure, business organisations and lobbying: The Japanese publishing sector, 1990-2001.2017

    • Author(s)
      Endo, T.
    • Journal Title

      Business History

      Volume: 印刷中 Pages: 印刷中

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Beyond taxation: Discourse around energy policy in Japan2016

    • Author(s)
      Endo,T. Tsuboyama, Y. Hara, Y.
    • Journal Title

      Energy Policy

      Volume: 98 Pages: 412-419

    • DOI

      10.1016/j.enpol.2016.08.012

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] The role of local accounting standard setters in institutional complexity: ‘Explosion’ of local standards in Japan.2016

    • Author(s)
      Matsubara, S. and Endo T.
    • Journal Title

      Accounting, Auditing & Accountability Journal

      Volume: 印刷中 Pages: 印刷中

    • DOI

      10.1108/AAAJ-01-2016-2375

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2018-01-16  

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