2017 Fiscal Year Research-status Report
テキストマイニングを活用したコモディティ化をもたらす要因の動態的分析
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16K17171
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
土橋 力也 愛知学院大学, 経営学部, 准教授 (00588923)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コモディティ化 / テキストマイニング / 自転車 / プラットフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、製品のコモディティ化をもたらす要因の研究に、テキストマイニングの手法を取り入れて、製品特性、産業構造、知覚品質の相互の関連性と影響力の強さを動態的に分析することである。本年度は次の3つを実施した。 第1は、コモディディ化した製品の代表例である自転車のデザインがどのように変化していったかを分析した。その分析結果を、"Emergent Process of a Dominant Design: A Revisit of the Bicycle Industry" 『経営学研究』27巻第1号として発表した。 第2は、コモディティ化とプラットフォーム戦略の関係性について分析し、「悪貨は良貨を駆逐するか:ツーサイド市場におけるユーザーの質の管理」として日本情報経営学会第75回全国大会で報告した。 第3は、自転車の利用状況の実態調査である。具体的には、2017年9月にオランダへ行き、自転車利用の現状について、自転車小売店を含む4つの組織に対してインタビュー調査を実施した。オランダは、世界で一番自転車が利用されている国であり、日本とは異なりコモディティ化は進展していない。世界各国でコモディティ化が進展している中で、なぜオランダでコモディティ化が進展していないのかを分析するために、調査を行った。コモディティ化が進展していない理由として、(1)オランダ政府が積極的に介入し、自転車道路などのインフラの整備を行ったこと、(2)市民のなかで自転車文化が浸透していること、(3)幼少期から自転車のルールに関する教育が徹底されていること、が明らかになった。現在、この分析内容をまとめ、論文として執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、上記の「研究実績の概要」で示した、コモディティ化とデザインの関係性の分析、コモディティ化とプラットフォームの関係性の分析、オランダの自転車産業の実態調査を実施した。これらの分析・調査により、コモディティ化に関する理論的・実証的な手がかりを得ることができた。主な成果としては、雑誌論文1本(近刊)と国内学会報告1件である。また、国際学会(Strategic Management Society Special Conference)へ応募し、査読を通過したところである(2018年6月に報告予定)。 国内学会報告では、他の研究者から有益なコメントをもらい、今後の研究の方向性について固めることができた。また、オランダでの実態調査においては、自転車の関連団体へのインタビュー調査から重要な情報を得ることができ、オランダの自転車産業に関する数多くの資料を収集することができた。さらに、テキストマイニングのデータについて、日本だけでなく、アメリカやイギリスの新聞記事データを入手することができた。 以上のことから、本研究はおおむね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度の研究成果を土台にして、2018年度にはコモディティ化の要因についてテキストマイニングを活用した分析を実施する予定である。2016年度に日本経済新聞社が新聞記事データを購入し、データのクリーニング作業は完了できた。現在では、日本の記事だけでなく、英国や米国の新聞記事データを入手し、それらの記事のテキストマイニングに向けてデータのクリーニング作業を行っている。それらのデータを分析し、学術雑誌に投稿することが2018年度の課題である。 次に、自転車の活用についての実態調査を2018年8月に実施する予定である。現在のところ、オランダに次ぐ世界有数の自転車先進国であるデンマークでの調査を予定している。この調査で得た知見をもとに、デンマークとオランドの自転車産業のコモディティ化の状況を比較分析する。 最後に、2018年6月に、Strategic Management Society Special Conference にて報告する予定である。この報告を通じて、多くの海外の研究者とディスカッションし、研究の質を高める。そして、それを学術雑誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査を実施していたが、予定よりも金額が少なかったため、次年度使用額が生じた。 次年度において、インタビュー調査と記事データの購入に使用したい。
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