2018 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of Credit Risk Model Incorporating Out-of-Court Restructuring in Japanese Listed Companies
Project/Area Number |
16K17174
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
北島 孝博 大阪経済法科大学, 経済学部, 准教授 (00756869)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 信用リスク / 企業倒産 / 債務免除 / 失敗予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、分析対象に私的整理などの法的な倒産企業以外のサンプルを加えることで、サンプル選択のバイアスを回避した予測精度の高い信用リスク評価モデルを開発することである。研究期間全体を通した当初の目標は、(1)債務免除データの収集、(2)債務免除を受けた企業の業績の検証、(3)法的な倒産企業に収集した債務免除を受けた企業を加えることで、「企業の失敗」を予測する新たなモデルを開発し、その実用性を評価することであった。 まず、債務免除を受けた企業の多くは倒産企業に類似した特徴を持つ一方で、実際に法的な倒産に至った企業は数少ないことを確認し、多くの企業は上場の維持、また完全子会社化、合併、監査法人意見不表明などの理由で退出していることを発見した。これにより、信用リスク評価モデルの開発において、法的な倒産企業以外のサンプルを「企業の失敗」としてモデルに取り込むことの重要性を実際のデータから明らかにした。次に、上述の結果を受けて当初の目標を修正し、合併、完全子会社化、監査法人意見不表明などで退出した企業も「企業の失敗」としてサンプルに含めることができないか検討し、信用リスク評価モデルの構築に考慮すべきサンプルをできる限り含めたモデルの開発と評価を行ってきた。これまでの主な研究成果は、離散型生存分析 (ハザード・モデル) を含む信用リスクモデルに関する比較分析の発表と学術誌への掲載であり、信用リスクモデルに含めるべき説明変数の選択においても重要な示唆を得ることができた。また、債務免除を受けた企業の業績に関する分析結果など本研究を通して得た知見については、現在発表および学術誌への掲載を目指して準備を進めている。
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