2016 Fiscal Year Research-status Report
NPOと企業のパートナーシップにおける共通認識の形成に関する研究
Project/Area Number |
16K17181
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松野 奈都子 早稲田大学, 商学学術院, 助手 (40732475)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | NPOと企業のパートナーシップ / 資源依存パースペクティヴ / センスメーキング / 誇り |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、NPOと企業のパートナーシップにおいて共通認識がどのように形成されるのかを明らかにすることである。2016年度は、NPO内での共通認識の形成と、NPO・企業とパートナーシップ事業で支援される人々の間での共通認識の形成に着目し、定性的な調査を行った。 研究成果は、学会発表、査読付き論文、ワーキングペーパーの形で公表した。 まず、6月に開催された組織学会研究発表大会にて学会発表を行った。本発表では、パートナーシップ形成前のNPOの状況に着目することで、組織内で「資源」に対する共通認識がどのように変化したのかを事例研究を通じて明らかにした。パートナーシップ形成前の状況について既存研究では、十分に検討されていない。また、NPO視点での研究も既存研究では不足しており、その点でも本研究には意義がある。 次に、査読付き学術誌『経営戦略研究』にて論文が刊行された。本論文の内容は、6月の組織学会研究発表大会で発表した内容と同一のものであるが、学会発表時に受けたフィードバックをもとに、修正を行った。 最後に、早稲田大学産業経営研究所からワーキングペーパーを刊行した。本ワーキングペーパーでは、NPO・企業とパートナーシップ事業で支援される人々の間で、どのように共通認識が形成されるのかに着目し、事例研究を行った。その結果、「誇り」という感情が共通認識の形成を促進することが示された。既存研究では、「誇り」が共通認識の形成に与える影響については、研究が不足している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度の研究計画では、1. センスメーキング研究のレビュー、2. 定性的な調査を予定していた。1. センスメーキング研究のレビューについては、代表的な研究についてはほぼレビューを終えた。2015年以降の論文については、2017年度に引き続きレビューを行う必要がある。また、2017年度以降で修正を加える必要はあるものの、事例分析の枠組みを構築することができた。 2. 定性的な調査は、NPOと被支援者(パートナーシップ事業で支援される人々)に対して行うことができた。当初の計画では、海外の被支援者に対して直接インタビュー調査を行う予定であったが、海外の治安が悪化したため、フィールド調査は2017年度以降に延期した。しかし、アンケート用紙を用いて被支援者からも質的なデータを収集することができた。 以上の理由から、本研究課題はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2017年度の研究計画は次の通りである。1. センスメーキング研究とパートナーシップ研究の追加的なレビューを行い、事例の分析枠組みを精緻化する、2. 複数の事例について定性的な調査を行う。 1. 2015年度以降の論文の知見を得るために、既存研究の追加的なレビューを予定している。これにより、2016年度に構築した事例分析の枠組みをより精緻化することが可能となると考えている。 2. 2016年度に調査した事例については、2017年度も引き続き調査を行う予定である。しかし、海外の治安が現在も改善しておらず、フィールド調査が困難なため、安全が確保できる海外あるいは国内においてフィールド調査が可能な調査先を探索し、新たな事例について定性的な調査を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
当初の計画では、海外の被支援者(パートナーシップ事業で支援される人々)に対してインタビュー調査を行う予定であり、そのための旅費を計上していた。しかし、現地の治安が悪化を受けて調査を延期したため、旅費が発生しておらず、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度以降、現地の治安が悪化すればインタビュー調査あるいはフィールド調査を行い、使用する予定である。また、2017年度には、他の事例でのインタビュー調査あるいはフィールド調査を予定しているため、その際に旅費や謝金、調査のコーディネート料として使用する予定である。
|