2017 Fiscal Year Research-status Report
中国地場自動車部品企業の競争力構築に関する調査研究
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16K17182
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
金 英善 早稲田大学, 総合研究機構, その他(招聘研究員) (40611067)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地場自動車部品企業 / 中国市場 / 基軸的Tier1 / 競争力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の課題は、引き続き文献収集と中国現地聞き取り調査を実施すること、そして第一年度の収集資料と聞き取り調査資料の分析成果をまとめることであった。まず、文献調査では、H社のM&A過程を考察する過程で、同社が米系自動車部品企業のD社をモデルにして成長させられたことを確認できた。前年度に実施した日系の日立オートモーティブズ、韓国系自動車部品企業の現代モビス、マンド等の先行研究のほかに、D社を対象に加えて文献を収集し、分析を深めた。次に、これまでの訪問で入手したH社とF社の関連企業資料を分析する作業では、元自動車部品企業の購買担当者と中国の研究協力者からも有力な助言を得て、研究成果を投稿するための草稿を仕上げている。 そして、引き続き中国現地聞き取り調査を実施した。29年度は主に、上海と蘇州地域の自動車・部品企業を訪問し、それらの経営実態と課題についてインタビューを実施することができた。積極的なM&Aを通じて外部資源の獲得する過程、技術力の蓄積過程等、当初提示したキーワードを中心に、各社の実相を確認することができた。そして、事例研究として取り上げる企業の取引先も含めて聞き取り調査を実施することで、いかに技術革新を推進してビジネスモデルの転換を可能にし、競争力を構築したかのプロセスについて考察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年後半に、自動車、とりわけ、新エネルギー車関連政策が中国政府(商務部、外交部、交通運輸部等)により相次いで発表された。このような政府政策の変化に加え、燃費規制の厳格化、自動運転の開発競争の激化を背景に、研究を推進する過程で、追加的な研究・調査課題が浮かび上がった。聞き取り調査を一部遅らせることとなったが、最終年度でキャッチアップできるように調整する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
中国現地協力者の協力も得ながら、順次中国現地聞き取り調査を実施する計画である。調査作業と並行して、中国汽車工業協会及びフォーインの最新データをチェックし、中国政府の政策動向にも引き続き注目しながら、研究対象企業に対して当初提示した仮説と4つのキーワードを中心に、その実相を考察・分析する。同時に、昨年度まで取りまとめた事例研究については、学術誌に投稿することと、月例研究会で発表することを目標とする。
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Causes of Carryover |
(理由) 次年度使用額が生じた理由は以下のとおりである。中国現地協力者に協力を得て、電話によるインタビューを有効活用することができ、その結果、調査旅費を大幅に節減することができた。そして、現地で発生する謝礼・移動等諸費用の一部を現地協力者が負担したこと、基礎データの整理、翻訳作業等をすべて独自で処理することによって、人件費と謝金が発生しなかった。 (使用計画) 30年度は、必要図書とプリンターの購入、海外調査及び日本国内調査に適切に用いることで、前年度に生じた差額は当初通りの計画で使用できるものと考える。
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