2016 Fiscal Year Research-status Report
大学発ベンチャーの成功における発明者の関与に関する研究
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16K17193
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
牧 兼充 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (60348852)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大学発ベンチャー / 成功要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、カリフォルニア大学システム(UCシステム)から2000年から2013年に創出された特許ベースの全大学発ベンチャー企業を分析している。この研究は、(1) ベンチャー企業のデータセットを活用した定量分析 (2) 企業インタビューによる定性分析の2つの方法により構成される。 当該年度においては、以下の項目について実施し、完了した。関連研究調査と仮説のブラッシュアップ / データセットのクリーンアップ / データセットの拡充 (ベンチャー企業の倒産の日付等) / 他のデータセット (特許データベースや論文データベース)との結合 / データ分析 (生存率への影響) / データ分析 (エグジットへの影響) / ワーキングペーパーのとりまとめ データの特性により、Shane and Stuart (2002)と整合性を持つ形で、サバイバル分析を行った。 その結果、以下のことが明らかになった。(1) 創業時における発明者と非発明者の混合チームが、ベンチャー企業の生存率及びエグジットの確率をあげる。 (2) 生存率を高めるためには、SBIR補助金とベンチャーキャピタル投資が有効である。 (3) エグジットの確率を高めるためには、ベンチャーキャピタル投資が有効である。 今後はこの研究成果をもとに、論文を執筆する予定である。また同時に、このデータセットを活用し、SBIR補助金の有効性など、大学発ベンチャーの成功要因の分析ついて多面的に広げていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね、当初の計画通りに進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度の成果を踏まえて29年度には、データ分析の更なる緻密化と論文執筆を行う。また構築したデータセットを活用して、SBIR補助金の有効性など、大学発ベンチャーの成功要因の分析ついて多面的に広げていく。 同一のデータセットを活用し、28年度の研究を発展させる形で、特に以下の課題について、検証する。 (1) 大学による大学発ベンチャー企業の株式の保有は、成功にどのように貢献するのか。 (2)大学発ベンチャー企業における創業者及び発明者の男女差/人種差は存在するのか。またその差はベンチャー企業の成功確率にどのように影響するのか。 (3) 教員もしくは学生主導の大学発ベンチャー企業には、どのような戦略・成長カーブの差が存在するのか。 (4) 地域のエコシステムは、大学発ベンチャー企業の成功にどのように影響するのか。(5) SBIR (Small Business Innovation Research)補助金は、ベンチャー企業の成功にどのように影響するのか。 (6) 大学発ベンチャーにおいて、IT分野とバイオ分野は、成長のプロセスがどのように異なるのか。
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Causes of Carryover |
理由:本研究は2年間の研究であり、初年度は研究計画のベースづくりを行った。次年度にかかる費用は初年度より増加するものとみなし、計画的に初年度の経費をセーブしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
理由:データベース構築のためのソフトの導入、及び人件費がかさむと想定されるため、その費用に充てる予定である
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