2017 Fiscal Year Research-status Report
退出段階の顧客接点におけるwaitingと技術受容性,満足に関する実証研究
Project/Area Number |
16K17194
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森村 文一 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80582527)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 技術受容 / 技術利用 / セルフサービス技術 / サービス / 役割知覚 / 目標 / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は,質問紙調査,および実験室実験を実施し,2016年度に構築した「顧客の技術に対する期待や理解」,「自身の役割認識」,「技術の利用」に関する研究モデルを定量的に分析するためのデータを収集する計画であった。調査実施の前に,フィールド調査,およびデータ収集の際の測定尺度の特定とデータ収集方法の検討の際に追加で行った文献調査によって,新たに,顧客が持つ「目標」が技術利用に影響を与えることが明らかとなった。そこで,「目標」概念を追加した研究モデルも構築し,調査を実施した。 2017年度の計画と対応した実績は,データ収集の完了である。データ収集は,2つに分けて行った,1つ目は,「顧客の技術に対する期待や理解」,「自身の役割の認識」,「技術の利用」の包括的なモデルの検証に使用するデータの収集のための質問紙調査である。2つ目は,顧客の持つ目標別に包括的なモデルに含まれる概念間の関係の強さがどのように変わるのかを検討するために,シナリオ別に回答データを収集する実験室実験である。 詳細なデータ分析および成果作成は2018年度の計画であるが,得られたデータを基に簡単な分析を行ったところ,2017年度に構築したモデルで想定した結果に近い結果が得られている。目標ついては,一部,概念間関係に差が認められたものの,想定通りの結果ではないことと,データ量の不足,測定尺度の再検討の必要性といった問題が発見され,測定尺度の修正に向けた詳細な検討,またはデータの追加収集が必要となることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は,①「顧客の技術に対する期待や理解」や「自身の役割の認識」が「技術の利用」に与える影響,②顧客が持つ「目標」が①の各概念や概念間関係に与える影響,について検証するデータの収集のため,測定尺度の整理・検討,データ収集方法の検討,そしてデータ収集を行うことを計画していた。この計画の進捗は,おおむね順調に進展している。 データ収集の際に,マーケティング,サービス・マーケティング,消費者行動,認知心理,情報システム,イノベーションという,広い分野の文献,測定尺度およびデータ収集の方法を整理し検討した。①を定量的に検証するための質問紙調査が完了している。また,②を定量的に検証するためのデータの収集のために,認知心理学分野の研究者の助言を得て,アメリカ消費者を含めた実験室実験の実施を完了している。詳細な分析は2018年度に行う計画であるが,簡単なデータの確認の結果,①については,ほぼ想定通りの結果が得られる見通しである。また,②については,「顧客の技術に対する期待や理解」が「技術の利用」に与える影響は,目標によって差がある可能性が示唆されるものの,一部測定尺度の修正や,追加でのデータ収集が必要となることが分かった。その点で,「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2016年度に検討を行った研究モデルについて,2017年度に追加的な研究モデルの検討とデータ収集を完了した。2018年度は,追加的なデータの収集とデータ分析を完了し,研究成果の作成・国際ジャーナルへの投稿に取り掛かる計画である。 1つ目の追加的なデータ収集について,2017年度に実施した調査では,顧客が持つ目標の差異によって,顧客の技術に対する期待や理解や技術の利用の関係がどのように変わるのかを検討するためデータを十分に収集できなかった。そこで,2018年度に,測定尺度の再検討も含めて,追加でデータ収集を行うこととする。 研究成果の作成について,「顧客の技術に対する期待や理解」や「技術の利用」について関心の高い国際ジャーナルへの複数の投稿を計画している。その際,サービス・マーケティング,イノベーション・マネジメント分野の海外研究者数名と連携することによって,柔軟な成果の作成を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
計画していた国際学会について,調査の構築と実施を優先させたため,投稿および参加を取りやめた。そのため,計画していた研究費が使用されなかった。 また,当初は複数のサービスを対象に質問紙調査を実施する計画であったが,調査の確実な実施を優先させ,対象を限定して質問紙調査を実施した。また,実験室実験については,シナリオ操作が確実に行われているかどうかを確認することを優先し,ひとまずデータ量を絞ってデータ収集を行ったことによって,一部研究費が使用されなかった。そこで,追加の質問紙調査,および実験室実験の実施は,2018年度に調査を実施することにした。主に以上の理由から,次年度使用額が生じた。
|