2017 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルメディア上での自己呈示とブランド選好の関係
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16K17196
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山本 奈央 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 講師 (70551662)
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Project Period (FY) |
2017-02-07 – 2021-03-31
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Keywords | ブランドマネジメント / 自己呈示 / ソーシャルメディア |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度はブランドの機能に関する先行研究の整理、ならびに消費者インタビューを行い、探索的に研究課題を検討した。インタビューでは、(1)ソーシャルメディア(以下SNS)と(2)消費行動全般についての質問をした。(1)についてはSNSの使い方やSNS上にどのような内容をアップするかならびに消費行動をアップするかとそれぞれの動機を調査した。(2)については普段の消費行動、購買意思決定時にブランドを重視するのか、するのであればブランドのどのような機能を重視するのかを調査した。実施に当たっては性別・年齢・職業に偏りの出ないように選んだ5名の被験者にデプスインタビューを行い、具体的項目としてSNSの利用動機、購買意思決定時のブランドの役割、ブランドの自己表現機能の重視の度合、SNS上での消費行動の可視化の有無、ライフスタイル等について質問をした。実施方式については当初グループインタビューを予定していたが、研究課題を検討した結探索的調査の段階では1対1のデプスインタビューが適していると考え、変更をした。 インタビューの結果、以下のことが明らかになった。第一に、ソーシャルメディアの利用動機によって、消費行動をアップするか否かがわかれること、第二に、年代・性別によってSNS上での消費行動の表現(記録)の仕方が異なる可能性があること、第三に、年代・性別によってブランドの自己表現機能への評価が異なる可能性があること、第四に、複数のSNSを利用したり、同一のSNS上で複数のアカウントを持つことによって、自己呈示に利用するアカウントとそうでないアカウントが使い分けられている可能性があること、第五に、SNS上では他者の消費行動が可視化されているため購買意思決定時の情報取得のツールとして利用されやすいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は先行研究の整理と消費者インタビューを当初から予定しており、計画通りに進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)理論的検討、第2回インタビュー調査と理論枠組み・分析枠組みの作成 29年度に行った理論的検討、第1回目のインタビューの結果を踏まえ、再検討を行う。特に心理学における自己呈示概念の整理を行う。加えて本研究課題の遂行にあたってはSNSの利用動向も考慮する必要があるため、この点についても検討する。 さらに、自己呈示と消費について現在の消費者がどのようにとらえているのか先行研究で取り上げられていたアメリカの事例との違いについてのアイディアを発見するためのインタビューを行う。加えて第1回インタビューでの2つの課題を踏まえたうえでの調査を行う。第一に、ブランドの自己表現機能への評価について、カテゴリーをアパレルに絞って質問を行ったがアパレルに興味がなく質問に答えにくいとした被験者もいたため、カテゴリーを再検討しインタビューを実施する。第二に、第2回ではインタビュー被験者のリクルーティングの際に消費行動をSNSにアップするかどうかについて尋ねたうえで消費行動をSNSにアップする動機について詳細に検討をしたい。理論的検討、定性的調査を通じて枠組みを見直した上で、31年度、32年度のアンケート、実験に向けて分析枠組を作成する。 (2)31年度32年度の実験にむけた実験用ウェブサイトの作成 実際のSNS利用のログを回収しその後のブランド選好と紐付できるような実験用ウェブサイトを作成する。その際にはブランド選好についての実験システム「選」を利用する。現時点では選のシステム内でブランド選好に関する実験を行う際、かかった時間や参照した情報などそのサイト上での行動ログをとることはできるが、実際のソーシャルメディアでのログをとることはできない。システムの利用、ならびにシステムの改良についてはすでに研究グループに許可を得ており、プログラム改良に関する検討を行う。
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Research Products
(1 results)