2019 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルメディア上での自己呈示とブランド選好の関係
Project/Area Number |
16K17196
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山本 奈央 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (70551662)
|
Project Period (FY) |
2017-02-07 – 2023-03-31
|
Keywords | 自己呈示 / ブランド / ソーシャルメディア |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は3月に実施したアンケート調査(SNSとしてInstagramを想定)の結果の分析ならびに考察を行った。まず、マニピュレーションチェックとしてアンケート内での自己呈示行動によってその後の自己呈示欲求が低下しているかの確認を行った。その結果SNS利用者(月1回以上投稿)について、自己呈示行動有(ブランドの自己呈示機能評価の前にInstagramへの投稿を想定した文章の記入)・無(ブランドの自己呈示機能評価のみ)の2群を比較した場合、自己呈示行動による自己呈示欲求への飽きはなく、むしろ自己呈示欲求が高くなることがわかった。これは先行研究とは異なる結果である。 次に、調査対象者にブランド(購買経験のある3カテゴリー)の自己呈示機能の評価を行ってもらい2群の平均値を比較した。自己呈示機能を評価する尺度としては、先行研究と同様、「ブランドとの接近性」ならびに「自己とブランドとの関連性」の二つを用いた。その結果、以下の二点が明らかとなった。 第一に、先行研究同様ブランドとの接近性への評価はSNS上での自己呈示行動後に低下すること、すなわち自己呈示機能の有限性が示唆された。第二に、先行研究とは異なりブランドとの関連性への評価はSNS上での自己呈示行動後に向上すること、すなわち相対的に自身と関連すると考えるブランドへの評価はSNS上での自己呈示行動の影響を受けず、むしろ向上することがわかった。上記の結果から、SNSで投稿をするタイプの消費者は自己呈示欲求が高いことが示唆された。また自己呈示機能の尺度によって結果が変わることから、ブランドの自己呈示機能の多元性が示唆された。 今後は、なぜ自己呈示機能が多元性を持つのか、ならびにSNS利用者の特性について検討を行い、第2回目のアンケート計画を立案する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度に先行研究レビューとインタビュー調査、2018年度にレビュー論文の執筆ならびに第1回目のアンケート調査(2019年3月)を行い、2019年度はデータ分析ならびに結果の考察を行った。その上で研究成果について日本消費者行動研究学会(2019年10月開催)で報告した。現在は学会でのフィードバックをもとに再検討を行い、アンケートデータに基づく論文執筆を進めている段階である。 現在までの進捗状況について、2019年12月より産前産後休暇それに続き育児休業を取得し研究を中断しているため、2019年4月時点での実際の計画よりやや遅れている。なお、休業ならびに休業に伴う研究計画の変更についてはすでに申請を行っており、現時点では2022年度までの研究計画としてはおおむね順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は以下のとおりである。 はじめに、第1回目のアンケートデータをもとに論文投稿を行う。 次に、第1回目のアンケートで自己呈示行動として設定した「ソーシャルメディアでの投稿を想定した質問への回答」について、あくまで「投稿を想定している」だけであり、被験者の自己呈示行動のコントロールに限界があるという指摘を受けたため、第2回目のアンケート調査についてこの点の改善を検討し、第2回目のアンケートではよりソーシャルメディア上での自己呈示に近い環境を用意し調査を行う予定である。 具体的には、実際にアンケート協力者が持つアカウントでの投稿により自己呈示行動をとってもらい、その後にアンケート調査を行うのが最も望ましいと考えているが、協力者を集めることが難しい(自身のアカウントを見られたくないと考える協力者が存在すると考えられるため)こと、またすでに持つアカウントでの投稿とアンケートの間のタイムラグやデータをどのように紐付するかなどの問題がある。今後はこの点をどのように克服するかを検討し、調査を行う予定である。 加えて、第1回目のアンケートでは調査項目に入れることのできなかった自己呈示に関する尺度の導入と尺度の見直しを行い、第2回目のアンケートデータをもとに本研究の課題である「ソーシャルメディア上での自己呈示がブランド選択に与える影響」について検討を行う。
|
Causes of Carryover |
2019年度途中より産前産後休暇を取得し、予定していたアンケート調査ならびに学会報告を研究中断後に行うこととしたため、次年度使用額が発生している。 研究活動再開後に当該経費を使用し、調査ならびに研究活動を行う。
|
Research Products
(1 results)