2021 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルメディア上での自己呈示とブランド選好の関係
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16K17196
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山本 奈央 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (70551662)
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Project Period (FY) |
2017-02-07 – 2023-03-31
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Keywords | 自己呈示 / ブランド / 消費者行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は文献レビューならびに2019年3月に実施したソーシャルメディア・SNSと自己呈示に関するアンケート調査の追加分析を行った。 はじめに文献レビューを通じウェブ上の自己呈示ならびに自己呈示とブランドの自己呈示機能との関係性について以下の点が明らかとなった。 第一にアイデンティティを定義するメッセージが、消費者のアイデンティティを自由に表現する能力を低下させそれが購買意欲を低下させる (Bhattacharjee et al.,2014)ということである。第二にSNS上でアイデンティティと関連する商品について投稿を行うことで自己を表現したいという欲求が充足してしまうとアイデンティティと関連する商品の購買意向につながらない(Grewal,et al.2019)ということである。第三にウェブ上でのコミュニケーションでは対面コミュニケーションに比べ社会的手掛かりが少ないため(三浦2008)、自由に自己を表現する際のコストが低下する、すなわち自己呈示が行いやすい環境にあるということである。 次にアンケート調査結果の追加分析により以下のことが明らかとなった。 2019年の調査では自己呈示行動課題を被験者に行ってもらったが、そもそも被験者の普段のSNS投稿についても被験者が日常的に行っている自己呈示行動であると考えられる。この点について新たに分析を行ったところブランドの自己呈示機能への評価については、評価直前にアンケート内で行う自己呈示行動だけではなく、普段のSNS投稿の頻度も影響を与えることが示唆された。 なお、上記レビュー結果ならびにアンケートの追加分析結果の詳細については2022年度に学会報告を行う予定である。(報告申請ならびに報告許可済である)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
育児休業期間のための中断期間が延長し、その結果として研究再開が遅れたこと、また新型コロナウイルス感染拡大の影響により予定していた調査を年度内に行うことができなかった。しかし、調査計画についてはすでにおおむね出来上がっており、調査を2022年度に行うことができれば、十分に期間内に課題遂行は可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は最終年度のため追加調査を行い研究の総括をする予定である。具体的な計画は以下のとおりである。 (1)アンケート調査について これまでの研究結果ではブランドとの近接性への評価は自己呈示行動の後に低下する一方、関連性への評価は自己呈示行動の後に向上することが分かっている。このことからブランドの自己呈示機能は多元的であり、重視されなくなるものと重視されるものもある可能性がある。この点について自己呈示機能の測定尺度を整理し調査に組み込む必要がある。次に自己呈示行動について、普段のSNS投稿での自己呈示の影響を検討する必要がある。2019年の調査ではこの点について投稿頻度を測定したが、これに加えアカウントの公開範囲など自己呈示と関係のありそうな項目について追加し、調査を行う予定である。第三に、SNSでどのような自己呈示行動をするのかによる影響についてはこれまでのアンケートでは検討していない。例えば、購入したものをアップする消費者とそうではない消費者、自身に関する情報をアップする消費者とそうでない消費者等、投稿内容によってどのような差があるのかを検討する必要がある。さらに、SNSでアップされることの多い製品カテゴリー(例えば衣類・外食など)とそうでないカテゴリー(日用雑貨など)での差についても検討をする必要がある。したがって、普段の投稿内容についての質問ならびにアンケート内で課す自己呈示課題について再検討を行ったうえで、調査を行う予定である。 (2)研究成果報告について 第1回、第2回のアンケート分析結果をもとに、学会報告ならびに論文投稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
育児休業期間の延長ならびに新型コロナウイルス感染拡大の影響により、予定していた調査を2022年度に延期したため、次年度使用額が発生した。 具体的には人件費ならびにその他(調査実施費用)、物品(アンケートデータ分析用ソフト費に使用予定)、旅費(学会報告用)で未使用額が発生した。(2021年度は執行無) 次年度使用額については2022年度にアンケート調査の実施ならびに統計分析ソフト(最新バージョン)の購入、学会報告を行うことで執行する予定である。
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Research Products
(1 results)