2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Japanese Budget Management Based on Case Studies: Focusing on the Resource Reallocation Mechanism-
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16K17209
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
足立 洋 県立広島大学, 経営情報学部, 准教授 (60585553)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 予算 / 日本的 / 不確実性 / 柔軟性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の研究目的は,ケース・スタディの方法により,予算管理における期中の資源再配分のメカニズムについて類型化を行い,その日本的特徴に関する理論モデルを構築することであった。 今年度は,上記研究課題の総括として,高不確実性下の業績管理会計を検討対象とした研究成果を最新のものも含めて整理しなおした。そのうえで,報告者がこれまで調査を進めてきた実践事例に基づいて,新たな知見を検討してきた。 まず,先行研究の整理を改めて行った結果,以下のことが明らかになった。そこでは,主に欧米企業における経験的研究を土台として,資源配分の調整・変更を柔軟にすることで管理者および組織構成員の不確実性を低減するメカニズムや,会計数値という「不完全」な指標によって高不確実性下で業績測定を行うことの心理的影響についての考察がなされてきた。その一方では,国民文化が経営管理の仕組みに影響を及ぼすことが指摘されている(例えばChow et al. 1991; Otley 2016)にもかかわらず,上述の研究成果は,不確実性の忌避傾向を一つの文化的特徴として有する日本の文脈(Hofstede 1980)においては,検証されることがほとんどなかった。 これを受けて今年度は,報告者がこれまで調査を進めてきた繊維メーカーとIT企業の事例に基づいて,この点について考察してきた。その結果,日本企業の予算管理における資源配分メカニズムの中では,職務構造の柔軟性(一人の人間が通常担当する職務だけでなく周辺の職務も担当できるようになっていること)が大きな役割を果たしているということが明らかになった。現在,これらのケースを土台として,これが業績管理会計のプロセスおよび機構にどのような影響を及ぼしているかについて,さらなる検討を進めている。
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Research Products
(5 results)