2016 Fiscal Year Research-status Report
サービス業におけるイノベーションの創出が組織業績に与える影響の理論的・実証的研究
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16K17210
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
関谷 浩行 北海学園大学, 経営学部, 准教授 (50734505)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イノベーション / インタンジブルズ / マネジメント・コントロール / 管理会計 / サービス業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,わが国のサービス業を対象としてマネジメント・コントロール・システムの視点から企業の価値創造に資するイノベーション・プロセス(イノベーションがどのように進むか)の可視化および組織業績との関係性を実証的に明らかにすることを目的としている。その上で,平成28年度には,研究計画に沿う形で,(1)イノベーションのタイプ分け,(2)イノベーションのタイプと不確実性の関係,(3)新しい分析枠組みの構築という3つのサブテーマに関する研究を実施した。各概要については,以下のとおりである。 (1)イノベーションのタイプ分け:先行研究の体系的な整理によって,従来のイノベーションとマネジメント・コントロールに関する研究では,①Simons(1995)の4つのコントロール・レバーのうち,主に診断的コントロール・システムおよびインターラクティブ・コントロール・システムの2つに焦点が当てられていること,②イノベーションの中でも主に製品イノベーションが対象とされていること,③調査対象が主に製造業に限定されているなど,経験的証拠に基づく検討が十分に行われていないことなどが確認された。 (2)イノベーションのタイプと不確実性の関係:イノベーション・プロセスにおける管理会計の役割を理解するためには,不確実性との関係を整理する必要がある。Simons(1995)が依拠する不確実性というのは,Galbraith(1977)の概念を援用している。企業の価値創造に資するイノベーション・プロセスと不確実性の関係については代表的な文献を基に考察し,どのような点に留意すべきかを整理した。 (3)新しい分析枠組みの構築:上記(1)・(2)のサブテーマの研究から洗い出された内容を基礎として,実証分析を行うための新しい枠組みを構築するために質問票調査に向けた準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度としては,研究計画に立てた部分の重要な点に関して目標達成することができたため,おおむね順調に進展していると言える。平成28年度の成果の一部としては,日本会計研究学会において学会報告を行った。一方,現状の課題としては,平成29年度に予定されているインタビュー調査に協力してもらえる企業の選定作業に時間がかかっていることがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究でも,当初の研究計画に大幅な変更はない。平成28年度に行ったイノベーションとマネジメント・コントロールの研究の棚卸しに基づいて研究を進める。加えて,平成29年度は企業へのインタビュー調査を実施する。これにより,最終年度に予定されている質問票調査の回答率の向上と内容の厳密さを担保したいと考えている。
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Causes of Carryover |
物品を安く購入することができ,節約に努めることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は,企業へのインタビュー調査を実施するため,それにかかる旅費に本年度未使用であった助成金を充当する。
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