2019 Fiscal Year Annual Research Report
Impact of management earnings forecast disclosure strategy on investor reaction
Project/Area Number |
16K17214
|
Research Institution | Asia University |
Principal Investigator |
鈴木 智大 亜細亜大学, 経営学部, 准教授 (50609021)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 業績予想 / 経営者予想 / アナリスト予想 / 開示戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果は以下のとおりである。 第1に、データベースから取得できる1997年から2019年の経営者予想情報を用いて、包括的な実態分析を実施した。主な分析結果は次のとおりである。①決算日から期初予想を公表するまでの日数が大幅に短縮化されてきている。特に東京証券取引所が決算発表の迅速化を推奨した2007年以降は40日程度となっている。②年ごとの景況感の影響はあるものの約7割の企業が前期実績を基準とすると、増収増益を予想する。③予想達成する企業の割合は約半数となっているが、近年、予想精度は向上している。 第2に、期中の修正情報が入手できる2003年以降のデータを用いて、経営者予想の公表に関して開示戦略を有していると想定されるサンプルを抽出するために、各企業の期初予想情報および期中修正情報から開示行動を分析し、開示戦略の有無の識別を行った。その結果、期初に保守的な(積極的な)予想を公表し、期が進むにつれて一貫した上方修正(下方修正)を行うことで、実績に近づけていくという開示行動が一部企業で観察された。一貫した上方修正を行う企業の割合は35%程度となっているが、一貫した下方修正企業の割合は近年低下しており25%程度となっている。 第3に、経営者の業績予想開示戦略に対するアナリストの反応を分析した。アナリストは過去の開示行動を観察することができるため、経営者の開示戦略を織り込んで予想を形成することが想定されるが、一貫した下方修正を実施してきた企業の業績予想に苦戦しており予想精度が低くなることが判明した。上方修正企業の業績予想精度は明確な開示戦略が識別できない企業とおおむね差異はなかった。なお3人以上のアナリストがカバーしている企業では、一貫した上方(下方)修正を行う企業の割合が相対的に高く(低く)、アナリストが予想を形成しやすい環境となっている。
|