2016 Fiscal Year Research-status Report
アメーバ経営の歴史的形成過程に関する研究:1980年以降を中心に
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16K17216
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
潮 清孝 中央大学, 商学部, 准教授 (90551747)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アメーバ経営 / 歴史 / 戦略 / 管理会計 / 長期的な競争優位 / ラーニング学派 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメーバ経営の歴史及びアメーバ経営が京セラにもたらしてきた長期的な優位性について、管理会計論の視点から分析を行った。歴史的な分析および関連調査については、現状、書籍や過去の文書などを中心に行っている。具体的なインタビュー等についても検討しているが、歴史分析を行う上での適切なインタビュイーとアポイントメントをとることは現時点では出てきない。引き続き機会を模索する予定である。 当初の予定通り、純粋な歴史分析のみならず、京セラの60年弱の歴史のなかで、長期的な競争力をもたらしてきた手法としてのアメーバ経営に着目をし、時間当り採算と呼ばれる独自の指標と、それをもちいた月次会議による持続的・継続的な組織学習について、定性的な分析を行っている。具体的には、ミンツバーグの戦略理論を参考としながら、ラーニング学派と呼ばれる戦略の理論体系に依拠しながら、組織の長期的な競争優位を構築・維持するための重要な役割を、アメーバ経営が担っていると考えられる。そのような観点から、アメーバ経営に関する様々な過去の著作や資料をもとに、具体的な組織学習プロセスについて明らかにする予定である。これらの成果については、2017年度中に、2つの成果として公表予定である。(「現在までの進捗状況」に記載)。 なお、2016年度の研究費については、上記の英文校正や翻訳に用いる予定であったが、2017年4月にずれ込んだため、その執行が2017年度にずれ込む予定である(研究期間全体としての執行状況には大きな影響はない)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画調書においては、過去および初年度研究成果について、他の複数の研究者と共同執筆を予定している英語書籍において公表する予定であった。これについては、約半年スケジュールが遅れ、原稿については2017年4月に作成し、現在、当該研究者らとの議論や調整、原稿の修正や英文校正などを行っている段階であり、2017年度中には刊行できる見通しである。また合わせて、他企業におけるアメーバ経営の導入プロセスについても調査・分析を行い、これについての研究成果を、2017年3月に、共著論文として執筆した。 具体的な中身としては、当初の予定通り、これまでの研究蓄積および2016年度中に行ったアーカイブ分析を用いて、アメーバ経営の歴史および長期的な競争優位・価値創造をもたらした具体的なプロセスに関する質的研究を扱ったものである。2017年4月時点で、原稿を書き終え、現在共著者二名と、内容の確認やディスカッションを行っている。2017年6月締め切りで発刊作業へと移るため、2017年度中の刊行が見込まれる。 それにともない、当初2016年度中に予定していた聞き取り調査などは、当初予定ほどには実施できていない。しかしながら引き続き調査対象企業とは定期的な研究会などを通じてコミュニケーションを図れているため、研究期間全体への影響は軽微であると考えられる。 予算執行状況についても、上記の影響により、2016年度末の残高が多く残っている状態であるが、2017年4月時点で既に英文翻訳や校正が一度終了しており、既に支払手続きを行っている段階にある。従って、期をまたぐことになったものの、研究期間全体としての執行見込には大きな影響はない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在執筆中の著書を完成させることが直近の最優先課題である。最終原稿確定前に再度ディスカッションをすることも考えられるが、2016年度中の最重要課題であった書籍出版は、2017年度中に十分に見込まれる。 当該執筆活動が終わり次第、聞取り調査や資料調査を再開する予定である。先述のとおり、調査対象企業とは定期的な研究会などを通じて、継続的なコミュニケーションが取れている状況なので、当初予定より若干の遅れが見込まれるものの、引き続き調査協力を得られる見込みである。 一方で、歴史研究であることから、計画調書段階で想定しているように、対象者の退職や高齢化により、意図通りの調査機会を得られない可能性は、引き続き否定できない。その場合には、聞取調査の対象範囲を、経営者層や経営管理部関係者以外(現場レベルでのアメーバ経営実践者等)に広げる等の方法により対処する(計画調書どおり)これらの成果については、引き続き、国内外の学会や刊行物などで公表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2016年度中に執筆予定であった英語著書(共著書)の英文翻訳・校正の実施時期が2017年度にずれ込んだことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記著書については、仮原稿が既に完成し、2017年4月時点で既に一度目の翻訳・校正を実施し、支払手続きを実施している段階である。同年5月、6月中に再度校正などを行う予定も含め、当該金額については、その大部分を、当該期間内に使用する計画である。
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