2017 Fiscal Year Research-status Report
アメーバ経営の歴史的形成過程に関する研究:1980年以降を中心に
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16K17216
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
潮 清孝 中央大学, 商学部, 准教授 (90551747)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アメーバ経営 / 戦略会計 / アクターネットワーク理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1980年代以降を中心に、アメーバ経営の変化・発展のプロセスに焦点をあて、外的環境や経営戦略に応じて、どのよに管理会計システムが変化・順応しうるかについて、分析を行うことであった。具体的な研究手法としては、インタビュー調査や資料調査に基づく定性分析である。また、具体的な研究進捗目標としては、第二年度に当たる平成29年度中に、英語での書籍出版(共著)を達成することであった。 まず、当該年度における具体的な成果としては、当初の予定通り、1980年以降のアメーバ経営の分析について、2017年12月に、英文書籍(共著)を出版することができた。具体的な内容としては、戦略経営や組織能力向上の観点から、アメーバ経営の変化、順応、発展のプロセスを描いた。また、質的研究における研究方法論としては、これまで筆者が援用してきた、アクターネットワーク理論やそれに関連する「銘刻」概念を用いた。この点については、順調に研究が進んでいると言える。 一方、今後の更なる研究成果を考える上では、必ずしも順調であるとは言えない点もある。上記成果の達成に、非常に多くの時間(特に共著者との内容調整や英文校正など)がかかり、当該成果以外に係る調査が十分に行えていない点が挙げられる。また、当初想定していたことではあるが、調査を想定していたインタビュイーなどの退職などにより、特に1980年当初についての調査について、聞取り調査実施上の計画が、必ずしも十分に進んでいない現状がある。これらについては、当年度(第3年度)中に中心的に解決を図り、さらなる成果の達成に向けて努力する所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のとおり、前半2年(都合4年)時点における重要な達成目標であった、英文書籍の刊行を果たすことができたことが主な理由である。しかしながら、第3年以降の研究成果に向けての下準備(インタビュー調査などの実施)については、英文書籍の刊行に若干想定以上の時間・労力がかかったため、完全に計画通りに進んでいるとは言えない側面もある。第3年度は、これらの点を踏まえ、積極的な調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
第3年度は、研究成果の公表よりも、そのための調査・分析を主とする。具体的には、1980年代以降のアメーバ経営の変化・発展プロセスについて詳しく知っているインタビュイーの選定およびインタビューの実施である。 当初想定しているとおり、希望するインタビュイーの退職などに伴い、必ずしも計画通り進むとは限らないリスクも存在する。それらの点については、現職者を対象にする、あるいは、過去の資料についてのアーカイブ調査などを計画・実施することにより、可能な限り補う予定である。
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Causes of Carryover |
主に2つの理由がある。第一には、英文翻訳・校正費が安く済んだことにある。当初は翻訳を利用する予定であったが、分析結果をより正確に伝えるためには、時間をかけてでも、自ら英語で執筆し、校正を受ける方が望ましいと判断したからである。その結果、非常に多くの時間を割くことにはなったが、費用面では大幅(30-40万円程度)に抑えられることとなった。 第二には、上記の結果、第3年度以降の研究成果公表のための調査(インタビューなど)を当初計画ほどには実施できなかったため、旅費が少なくなったためである。また、第2年度中、共著者と最終打ち合わせを行った際、格安航空を利用したため、支出が抑えられた、という側面もある。第3年度については、聞き取り調査などを積極的に実施するため、旅費などが多く必要となる見込である。
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